8月14日、首都ソウルの南282マイルに位置する済州島(さいしゅうとう、チェジュとう)は、「グローバルブロックチェーンハブ都市開発研究サービス」を設立したと発表した。同日、地元のニュースメディア「Jejudomin」が明かした。

その内容は、「Bit Island(ビットアイランド、ビット島)」と呼ばれる計画に1億7500万ウォン(約145,000ドル:約1541万円)を投資するというものだ。

韓国政府は7月24日、同国第2の都市である釜山(プサン)広域市をブロックチェーン規制自由特区に指定し、今年の9月から「物流」、「観光」、「治安」、「金融」の4つの分野でブロックチェーン技術の商用化に取り組む方針を明らかにしたばかりである。候補としてあがっていた済州島は規制自由特区に指定されなかったが、島はブロックチェーン技術を使った開発プロジェクトを諦めてはいなかった。

ニュースメディア「Jejudomin」によると、安全な仮想化を専門とする企業「Tilon」がプロジェクトを担当し、今回の合意に基づき、Tilonは済州島に適したブロックチェーンモデルを分析および開発することになるという。

Tilonは、「ビットアイランド」のロードマップの開発に役立てるために米国と英国の両方における現在の進歩を調査し、釜山に匹敵する別のブロックチェーンハブを作成したいと考えているという。

済州島の将来戦略ディレクターであるNoh Hee-seop氏は、「この研究サービスは、第4次産業革命のコア技術であるブロックチェーン技術の可能性を最大化するブロックチェーンハブ都市としての済州の設立に貢献するものと期待しています。」と述べ、同プロジェクトへ前向きな見解を示した。

済州島は、2006年に連邦の州のような自治権を持つ「特別自治道」に昇格しており、現地の規制を実施する際により多くの自治権を持っている。このことはブロックチェーンハブ都市開発を進める上で大きなメリットになり得るだろう。

一方釜山は、金融インフラを強化するため地域ブロックチェーンベースの暗号通貨を開始する計画を明らかにしており、地元の持ち株会社であるBNKフィナンシャルグループの子会社であるBNK釜山銀行や他のブロックチェーン会社と提携する予定となっていることをすでに発表している。

また、ソウルの首都であり最大の都市であるソウルは、税金の支払いや投票への参加などの公共サービスの利用に対して、ソウル市が進める独自通貨の「Sコイン」を市民に提供するポイントシステムを導入する予定であることも発表している。ポイントシステムは韓国の電子決済サービス「ZeroPay」に組み込まれ、コインは商品やサービスの支払いに使用できるという。

ソウル、釜山、済州島と3つの都市でプロジェクトを進める韓国。それぞれが独自にプロジェクトを進めている形ではあるが、韓国がブロックチェーン業界にいかに力を入れているかがわかる。今後も各都市のプロジェクトの動向に注目していきたい。

参考:Jejudomin(韓国語)