サンフランシスコにあるモバイル決済サービスを行うスクエアが、自ら提供しているアプリ「Cash App」にてビットコインの無料配布を宣言した。CEOのジャック・ドーシー氏はビットコインの使用についてとても肯定的な立場をとっており、今回の配布はビットコインとスクエアのイメージアップに大いに貢献すると予想される。

日本では、かつて交換業や小売電気事業を行うリミックスポイントが2017年9月に同じようにビットコインの無料配布を行った。今後類似のキャンペーンが多数行われた場合どのようなことになるだろうか?

近頃いわゆるバラマキではないが、日本国内外で仮想通貨決済を導入すると言ったニュースをよく聞く。しかし、ビットコインの無料配布なども非ビットコインユーザーにとっては無用の長物でしかない。

先のジャック・ドーシー氏によれば、インターネットでの決済・送金はビットコインに取って代わると発言しているが、実際に仮想通貨を使用しているユーザーは決済目的よりも相場が低いときに手に入れ、高いときに手放そうとするトレーダーが主流となっている。

昨今話題のFacebook主導で開発されているLibraは、その流れを受けて支払いに安心して使えるというところをアピールしているようだが、今回の配布キャンペーンもまたトレードしてもらうためではなく買い物をして使ってもらいたいというのが本懐であろう。

ユーザーとしては価値の高いうちにボラティリティの低い安定した通貨へ価値を移したいと考えるかもしれないが、仮想通貨を手放す方法としては売るだけではなく、買い物をするというのも手段だということを考えられるようにもなってきた。

また、キャッシュレスを語る上でQR決済の利便性が語られることも多いが、仮想通貨の支払いサービスにおいてもQRコードを用いる場面は増えてきているようだ。しかし、アプリケーションの利便性をあげたところで新規ユーザーへの訴求には繋がりにくい。

少なくとも日本では仮想通貨に対して一般的には懐疑的な意見が多く見られ、QRコード決済もセブンペイの壮大な失敗は決済の本質とは無関係な部分を多数含むとはいえ最大手のコンビニ、小売業者がこけたことで手痛いブレーキとなったことは間違いない。

ばら撒きキャンペーンによりどれだけのユーザーが刺激を受け行動に移すかは未知数ではあるが、コストに見合った効果が出るか見るだけの価値はあるだろう。

参考:CashApp(twitter)