イラン政府は経済委員会の場でマイニングを正式に認めることを決定したことをイラン商工鉱業農業会議所(ICCIMA)が明かした。

マイニングとは採掘作業を指すが、仮想通貨においては複雑な計算処理を伴うコンピューターでの作業となり、各種取引の正当性を検証することで、その仮想通貨の運営に協力することの報酬金という位置づけとなる。実際に貢献するためには一般的なパソコンでは足元にも及ばないようなハイスペックなコンピューターが必要になるなど、そう簡単に参入できるものでもないが、市場を読んで仮想通貨を売買することよりも堅実である点がイスラム法に照らし合わせても許容されうる要因となったのではないだろうか。

また、マイニングにおける重大なランニングコストとしては電気代があげられるが、イランではその電気代が低くなるために国外からマイナーが殺到し、2019年6月には7%の電力消費量増加も見られた。

ただ、アメリカ議会が制裁に関連してイランの仮想通貨とマイニングのアクセスを禁止しようとしているなど、イランを拠点としたマイナーとしては不安要素があるが、イラン政府としては今回の方針から仮想通貨関連に寛容性もみられ、マイニングに関してはイランのインフラを使用されること歓迎していると言える。

なおイランにおいては、アメリカからの経済制裁を回避するためと言われる、新種のステーブルコインであるPayMonの発行を許可するなど、以前に比べると仮想通貨に対して前向きである報道が目立ってきている。

初期仮想通貨の理念としては基本的に、中央政府や銀行から独立し、中立的な立場で運用されるべきものというスタンスもあったが、マネーロンダリングに利用される可能性が非常に高いことから各種の管理、監視、規制が強まってきており、マイニングにおいても中国政府は禁止する計画を進めるなど、各国各地域によりあり方が異なる。

イランの場合は核合意でもアメリカと緊迫した状態が続いており、通貨が暴落し、人々が生活に困窮し国外へ逃げたり、チェーン店の撤退など、国内外からイランを避ける行動が見られる事情がある。

国を挙げて仮想通貨を推進しているのは、他には北朝鮮やソマリアやベネズエラなど苦しい状況にある所が目につく。仮想通貨を「平和的革命」や「平和に繋がる」手段として、未来に希望を懸けることができるだろうか。

参考:ICCIMA