韓国政府から、自身の国の仮想通貨に関する発表があった。それは今まで二年間で2兆7000億ウォン(約2474億円)ほどが、事件で無くなったと言うものだ。

元々、いずれも政府機関である韓国インターネット振興院と科学技術情報通信部の企画財政部によって、設定された審査基準を満たしていない仮想通貨取引所が、21カ所調査の内14カ所もあると報告がなされている。

その消失額の大きさは、元々の仮想通貨取引所のセキュリティの低さからも来ていると見て間違いない。

また韓国内の仮想通貨取引所であるアップビットの使用者が、北朝鮮のハッカーによって攻撃されているか可能性があると言う事も発覚した。ちなみに北朝鮮は韓国や日本などのアジア諸国から、5億7100万米ドル(約637億円)ほどの仮想通貨を盗み出しているとされている。

これほど甚大な被害を受けているにも関わらず、なぜ審査基準を満たさない仮想通貨取引所が多いのか。それには次のように考えられる。

2018年から韓国内での仮想通貨取引所の数が急激に増え、2019年5月になると205社も増えた。しかし新しく出来た仮想通貨取引所はセキュリティ対策などが十分でない事は珍しくなく、さきの21カ所の調査を進めることで更に基準に満たない取引所が多く出てくることが予想されている。

こう言った事態もあってだろう、韓国民主党のチェ・ヨンキュン議員がセキュリティ強化に関する法案を出しており、政府自ら発表した犯罪による仮想通貨の消失額の報告は、それに対して説得力を高めるものと言える。世論からの支持も得られやすいだろう。

さらに韓国はFATF(マネーロンダリング対策を行う政府間機関)にも加盟しており、そのFATFが実名のアカウントを使っていない仮想通貨取引所を厳しく取り締まる事で、200ほどの仮想通貨取引所が閉鎖される可能性があると言われている。

追い付いていない仮想通貨取引所自身のセキュリティ対策を待たずに、政府自らメスを入れていると言える。

参考:韓国法務省(韓国語)