フランスで開催されているG7財務相・中央銀行総裁会議にてFacebookの仮想通貨Libraについて意見が交わされた。Libraの規制について早急な対応が必要との認識が一致したと伝えられている。

今回の会議の議長国であるフランスのルメール経済・財務大臣によればG7各国は揃ってLibraの構想に懸念を表明したと述べ、通貨発行という国家主権は侵害されるべきではないとも語った。

Libraの影響で主権が脅かされることを危惧している国家が多くあり、自国通貨の弱体化を懸念しているということだ。

また、ドイツのショルツ財務省はFacebookの計画を十分に検討されているようには思えないと評価し、データセキュリティ上の問題点を指摘した。

Facebookの個人情報漏洩について、米国の公聴会にてザッカーバーグCEOが、今後漏洩する事が無いよう万全の措置をとると説明をしたが、今日までにおいても同様の意思は持っていたはずであり、具体的に完全に漏洩を止めるようにどのような手段を取るのか不明な面もある。

個人情報漏洩問題でFacebookは史上最高の50億ドルにも昇る制裁金を課されたが、今後莫大な制裁金を再度課されたくないという動機は芽生えはするものの、安全性について解決したわけではない。

日本の麻生財務省は現在の規制で想定されていない新たな課題があるのか検討する必要があるとの見解を示し、仮想通貨に対して前向きな姿勢を示す日本もLibraに対しては別枠で検討していることが伺えた。

今回はG7内の会議にて意見がかわされることとなったが、FacebookなどのSNSの利用者が多い国からはユーザーによる導入を希望する声が上がってくる事も考えられる。QR決済先進国と言われる中国における2大送金サービスのうちのひとつWeChatPayも、中国版LINEと言われるWeChatから派生したサービスであり、それにならいLINEもLINE PAYを開発したように、SNSと送金手段の親和性の高さはすでに中国での大成功により示されている。

日本でも乱立し問題となっている各種Payなどは各ベンダーによる中央集権的仕組みによるものであるが、LibraがFacebookの語るようにいずれ非中央集権化し、完全に分散されるようになり、各国が総出で懸念するようなセキュリティリスクを説得しうるようなことがあれば、食事の割り勘からグローバルな送金手段まで、決済の覇権を担うインフラとなる未来もありうるのかもしれない。

参考:REUTERS