YahooやMicrosoftでチーフエコノミストを務め、Googleでの勤務経験も持っている著名な経済学者のPreston McAfee氏は、3月8日~17日に米テキサス州のオースティンで開催された「SXSWカンファレンス」にて、ソフトウェア技術者が、あらゆるコンピューティングシステムの最も効率的な設計原則として集中化を好む傾向があると説明した。

「彼ら自身が持つ装置に任せれば、コンピュータ科学者はソビエト連邦を再創造するでしょう。」

要点としては、ブロックチェーンモデルに基づく分散型ネットワークは、コマンド・アンド・コントロール(直接指令を送り、制御する概念)・アーキテクチャの相対的な非効率性があるにもかかわらず、より積極的に全体的に社会的成果を挙げることができるということだ。

インターネット・バブルを機に爆発的に拡大し、私たちの生活に欠かすことのできない存在となった現在のインターネットは今、その集中型モデルが社会的限界にぶち当たっている。

広告主のために視聴者を獲得し、消費者の行動を形作るためにユーザーのデータをマイニングするという“監視資本主義的な”戦略に、反発が生じているのだ。政治的な圧力とユーザーの反抗の両方が、企業に戦略の再考を余儀なくさせている。

今インターネットはまさに“ベルリンの壁”に直面している状況と言ってもいいだろう。ブロックチェーンや暗号通貨技術の基礎となるいくつかの原則が、ソーシャルメディア企業の事業開発戦略として支持されているのはこのためだ。

最近では、Facebookが特にこの分野で多くの注目を集めている。

FacebookのCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は最近、Facebook、Instagram、WhatsAppでユーザーデータのエンドツーエンドの暗号化を採用する動きを示唆した「ソーシャルネットワーキングのためのプライバシー重視のビジョン」の概説を発表した。

ザッカーバーグ氏によると、同社はサーバーが認証コードとして機能することない分散ログインを可能にするため、ブロックチェーンモデルを使用してFacebookの今後の見通しを推測しているという。また、ユーザー同士の取引や暗号通貨の交換を可能にする独自のデジタル通貨の開発にも取り組んでいるという話もある。

Facebook同様にSNS業界で大きなシェアを占めるTwitterについても、同社のCEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏が「ビットコインはいずれインターネットのネイティブ通貨になる」と宣言しているように、暗号分野には非常に熱心だ。

ドーシー氏は、ライトニングブロックチェーンのスケーラビリティ・プロトコルを開発しているLightning Labsにも投資しており、ライトニング・ネットワークに基づいてビットコインの支払いチャネルの開発にも取り組んでいる。暗号技術者を雇い、給料についてもビットコインでの支払いを選択肢にいれているという力の入れ具合だ。

大手SNS企業が従来のビジネスモデルを変えることについては批判的な見解を示す専門家もいるが、集中的なデータ収集モデルの開発や、そのデータをマイニングして広告主に配信するアルゴリズムの開発を監督していた上級管理職は離脱していっており、現在は新たな時代に合った新たな戦略が求められている。

参考:CoinDesk