中東のメディアであるアルジャジーラが今週、イランで開催されるイベントで、イラン政府が支援する独自の仮想通貨を発表する可能性があることを伝えた。
イランは度重なる米国からの経済制裁によって政府指導によって様々な対応策をしてきたが、それでも南米ベネズエラのような独自の仮想通貨発行に対しては否定的だった。
どのような形態の仮想通貨が発表されるかはまだ明らかとなっていないが、最初はイラン国内の金融機関や仮想通貨関連の機関との間で決済手段として用いられ、その後イラン国内での一般市民が様々な物の購入やサービスの支払いに使われていくと予測される。
さらに国際間決済ネットワークであるSWIFTの代替手段として用いられることも考えられる。昨年11月の時点で複数のイランの銀行をSWIFTは遮断し、現在貿易の支払いなどに支障が出ている可能性がある。
昨年11月にはイランとロシア、さらにアルメニアのブロックチェーン研究機関がブロックチェーン技術で協力する協定を結んだことから、今後米国の経済制裁回避に向け本格的にロシア経由にて貿易を盛んにさせていくことも考えられる。
それに対し、米国としても海外諸国に対して独自の仮想通貨の使用をしないよう圧力をかけてくることも考えられ、最悪の場合、ブロックチェーンによる冷戦時代を迎えるかもしれない。
実際、米国もイランのデジタル通貨に対し警戒感を示しており、昨年12月にて米議会の議員がイランのデジタル通貨開発に対する制裁を科すための法案を提出している。
法案の内容はイランのデジタル通貨を利用した取引やデジタル通貨の販売、供給、送金などした外国人に対し制裁を加える狙いとしており、それでもロシア経由にて盛んに行われることも考えられるために、あまり効果はないとの見方もできる。
さらに仮想通貨でも匿名通貨もあるためにすべての取引に制限を持たすことは不可能であり、匿名通貨の需要も今後増えていくことも考えられる。イランが今後どのように進むかによって、他の経済制裁を受けている国にとっては参考になっていくだろう。
参考:Aljazeera