大手金融のJPモルガンは先月30日、「ブロックチェーン技術は銀行と決済システムに利益をもたらす。」と語り、とくに決済システムについて大きな改善が見込める点を強調した。同日、ブルームバーグがコメントを報じた。

JPモルガンのグローバル調査委員長であるJoyce Chang氏は、「ブロックチェーンは、グローバル決済システムを再発明するというわけではなく、多大な改善をもたらす技術です。最も影響が大きくなるのは、おそらく3年から5年先で、主に貿易金融に影響するでしょう。」と語り、将来の展望を明らかにした。

Chang氏によると、貿易金融におけるブロックチェーンの適用は、効率化からデジタル化まで高い潜在的利益があるため、一般的な適用であると説明した。さらに、暗号通貨が最も注目を集めているが、分散台帳の基盤となる技術がより重要であると指摘した。

その例として、イーサリアムのブロックチェーンに基づいてJPモルガンが開発したInterbank Information Network(IIN)をあげた。

ネットワークには国際的に157の銀行が加盟しており、銀行間で情報を共有するという課題に取り組み、受取人への取引を迅速化することを目的としている。

他にも、ブロックチェーン技術の適用を前向きに考えている銀行は多くあり、スペインのBBVAやSantanderといった大手銀行もその1つだ。2018年4月には、BBVAはブロックチェーン技術を使用してローンプロセス全体を実行する“最初の”グローバル銀行であると主張し、12月にはポルシェホールディングと共にブロックチェーン技術を使用して1億5,000万ユーロの融資を行っている。

Chang氏は、ブロックチェーンが特定の金融サービスに広く採用されるようになっている一方で、同技術は「スケーラビリティ」、「統合」、「コスト効率」と「規制」の4つの大きな課題に直面している点も指摘した。

将来的には、Chang氏があげたグローバル決済システムをはじめ、様々な領域で実用化が進むと考えられるブロックチェーン技術だが、課題はまだ多く、影響が最大化となるのはまだ少し先のようだ。

参考:Bloomberg