ケンタッキー・フライドチキンがインフレに見舞われているベネズエラにて仮想通貨ダッシュ(DASH)での決済を受けることを発表した。

ベネズエラの首都カラカスの中部に位置するチャカオ市の店舗をダッシュ決済の第一号として、今後南米諸国24地域に拡大する予定としている。

この取り組みを進めているのはダッシュ・マーチャント・ベネズエラ、ダッシュ・ヘルプ、ダッシュ・テキストの共同創業者であるアレハンドロ・エチェベリア氏であり、ベネズエラではまだインターネットやスマートフォンが普及が進んでいない現状を見越して、SMSを使ったシステム、ダッシュ・テキストで店舗決済を行うとしている。

同氏の取り組みによってダッシュはベネズエラでは急速に成長しているが、SMSでの決済の利便性だけでなく、ベネズエラの今の現状も関わっているのも一つの要因と言える。

ベネズエラと言えば、米国からの経済制裁によって自国通貨ボリバルの価値が低迷しており、石油に価値を裏付けした国営仮想通貨ペトロの発行が行われた事で知られているが、その裏付けとなっている石油があるのか世間からは懸念の声が上がってきている。そのため内需はさらに冷え込み、国民が仮想通貨を利用していこうと舵を切ってきている。

国民の需要を見込み、同国内の大手デパートが仮想通貨決済を導入を決定し、慈善団体も仮想通貨を受け入れ、子供たちの支援に乗り出している。

なぜダッシュを国民が選ぶのかと言う点で、ダッシュ決済が既に米国の一部にて導入されている以外にも匿名通貨として知られている面もあるだろう。

ビットコインなどの主要な仮想通貨は送金履歴がブロックチェーンにて追求できるのに対し、ダッシュは匿名通貨であるために資金の流れが把握されない。国民にとってはどれくらい使われているのか国側か把握されないように心理的防御が働かれていると見られる。

さらにダッシュは即時決済に向いている事から南米諸国に波及した後は、世界にサービスを拡大していくことも考えられる。

日本の仮想通貨取引所では匿名通貨はマネーロンダリングの懸念があることから金融庁が取り扱いをしないよう各取引所に指示を出しているが、国の事情によって自身の資産が明らかになるのを避けたい国民にとっては使い勝手の良い仮想通貨として認知されていく事だろう。

参考:Forbes