ビットコインキャッシュ(BCH)の支持者であり、Bitcoin.comのCEOであるRoger Ver(ロジャー・バー)氏は8日、Bitcoin.comのYouTubeオフィシャルチャンネルでBCHのハードフォークについて語る動画を公開した。
動画内でVer氏は、「騙された、と認めるのは簡単なことではない。」と切り出し、ブロックチェーン開発会社nChainのチーフサイエンティストであり“自称サトシ・ナカモト”のCraig Wright(クレイグ・ライト)氏からメールが届いたことを明かし、Wright氏に自分が騙されていたと述べた。
以下はVer氏が公開したWright氏からのメールである。
「もし戦争がしたいなら、2年間トレードはしない。戦争中は、コインは一切取引しない。ABCがほしいなら、クソコインがほしいなら、破産まっしぐらだ。君と会うことはもう二度とないだろう。ABCがクソみたいなことをする前にビットコインは死ぬだろう。今後数年はBCHの取引はゼロになるのが目に見えている。君には見えないか?ABC側について、ビットコインを嫌うなら君は私の敵だ。それがどういうことを意味するか分からないだろう。今に分かるよ。私がサトシだ。良い人生を送るとよい。怒った時の私を知ることになるだろう。そして、それを防ぐこともできた。君が選択したことだ。クソくらえ。Craigより。」
これに対してVer氏は「とても40代の大人のビジネスマンが言うようなセリフではない。」と困惑した表情で語った。一方で、マイニング事業を手がけるCalvin Ayre氏もVer氏と意見の相違があったが、「私達の運動に再参加したい場合はいつでも気軽に言ってくれ。」と丁寧なメールをくれたことを明かし、2人のメールの違いを取り上げた。
Bitcoin.comは先日、ハードフォークを迎えるBCHの大幅アップデート内容を提案したBitcoinABCを支持することを発表した。Wright氏の攻撃的なメールはおそらくABCをサポートする姿勢を示したVer氏の決定に不満を持ったからだろう。
BCHは2018年11月15日にいよいよハードフォークを迎えるが、大手仮想通貨取引所Binanceや米大手仮想通貨取引所Coinbaseといった大手取引所はハードフォークをサポートする姿勢を示した。しかし、Wright氏はBitcoinABCが提案した変更点に同意せず、Wright氏が率いるnChainは独自のアップグレードを実行することを決定した。
Ver氏とWright氏はハードフォークについてここ数ヶ月間に及んで対立してきたが、Ver氏によると、Wright氏とのケンカは政治観の違いや個人的な見解の違いで生じたものであると語った。当初はWright氏に同調していたVer氏だったが、時間が経つにつれてWright氏の技術的な洞察力に対して懐疑的になっていったと説明した。
「Craigが言うことの中には、もちろん的を射たこともいくつかあるけど、話していることについて理解できていない部分も多い。技術的な議論をすることを拒否するのは奇妙に思えるし、おそらく私の見解ではそうした議論ができないからなのだろう。これまで非常に懐疑的にさせる出来事は数多くあった。」
Ver氏は以前、Wright氏がサトシ・ナカモトだと信じているとも断言しており、「ビットコインホワイトペーパーの思想を反映したビジョンを持っている」として過去にWright氏を称賛していたが、最近BCHマイニングカンファレンスにて技術的な議論が行われていた際に途中でその場を去ったことなどから懐疑的になっていったと説明した。
「彼がサトシであるという疑う余地のない証拠があったとしても、BCHについての意見を変えるつもりはないよ。仮にCraigがサトシだと判明しても、彼の意見を引き上げるのではなく、サトシの意見を引き下げることになると思うよ。」とVer氏は語った。