スタートアップ国家として世界的に知られているイスラエルが、今年の1~9月までに同国発となるICO(イニシャル・コイン・オファリング)が800件行われ、約680億円を調達した。

ICOと言うと詐欺に関わる可能性もあり、懐疑的な見方が世間ではされているが、スタートアップに対してはむしろ標準的な資金調達方法で、世界的には増加傾向となっている。

ICOに活発なのはイスラエル以外にロシア、アメリカ、スイス、シンガポールと仮想通貨に対し規制はしつつも前向きに対応している国々で、イスラエルも仮想通貨を前向きに見ている国だと言えるだろう。

イスラエルは特にセキュリティ技術やプロトコル開発に強く、仮想通貨分野に対しては匿名通貨であるZCashやイーサリアムなどに採用されているゼロ知識証明は同国で考案されたもので、バンコールネットワークのプロトコル、Bancorもイスラエル発となっている。

イスラエルは国の事情からかセキュリティ分野には力を費やしており、昨年5月には日本の経済産業省がイスラエルの経済産業省とサイバーセキュリティ分野における協力に関する覚書を結んだことで、2020年に行われる東京五輪に向けてのシナジー効果を強化したいという国の意図が見受けられた。

今回、イスラエルの仮想通貨とブロックチェーン関連について調査結果を発表したOne AlphaのCEOであるYaniv Feldman氏によれば、「仮想通貨バブルの崩壊は仮想通貨市場を健全化するには効果があった。」とコメントしている。

実際、昨年から今年初めまで仮想通貨に対して過剰な投資熱が高まっている中、数多くの詐欺が散見されたが、現在は落ち着きを取り戻しており、仮想通貨絡みの詐欺話は少なくなってきているようにも見える。

スタートアップ国家としてICO市場を牽引するイスラエルには今後も注目していきたい。

参考:One Alpha(PDF)