家庭用化成品メーカーで知られるSCジョンソンが、海洋プラスチックの世界的な危機を軽減するために取り組んでいる主要企業の1つであるPlastic Bankとのパートナーシップを発表した。
鼻にストローがささったウミガメが話題となり一気に問題視されるようになったプラスチックによる海洋汚染だがこの解決は非常に難しいものがある。我々にとってプラスチックが非常に便利である点に腐食に強いというものが挙げられるが、自然界に放置しても自然分解されないという面も含んでいる。
海洋汚染にも様々な種類があるが、分解も希釈もされないという点でプラスチックが最も危険な汚染であるという見方もある。
一度放たれたゴミは自然になくすことも出来ず、遠洋・深海にあるプラスチックを回収することも事実上不可能なため、プラスチックによる汚染を止めるためにはプラスチックを自然に放たないことしかない。これを防ぐためにはプラスチックにある他のメリットであるリサイクル可能という点に着目したのが今回のプロジェクトにあたる。
プラスチックのリサイクルは日本でも行われていることだが、徹底されていることでもなく個々人の良心に委ねられている。それに対してインセンティブとしてブロックチェーンを利用したデジタルトークンを付与し、トークンを使用して商品やサービスを購入できるようにするという。
オーシャンコンサバンシーとマッキンゼーセンターによる2015年のレポートによれば中国、インドネシア、フィリピン、ベトナム、タイといったアジア5ヶ国によってプラスチック廃棄物の55%が海洋に漏洩しているとされ、5ヶ国の回収率を約80%に高める事ができれば、海洋へのプラスチック廃棄物を約23%削減可能だという。
インドネシアはこれに呼応し、年間10億ドルを海洋汚染対策に拠出することを宣言し、2025年までに70%の海洋廃棄物の削減を目標としている。そのインドネシアにまずは来年8軒のSCジョンソンとPlastic Bankのリサイクルセンターを開設する。特に貧困層にとって影響の大きなプログラムになることが予想される。
自然による循環が機能しないプラスチックであるが人の手を加えることで流出を避け、循環の輪に加わることが可能となる。生産を減らすことは可能かもしれないが、安易に生成でき、加工も簡単で耐久性も十分なうえ有機的に分解出来る革新的新素材の現れない限りプラスチックを無くすことは最早無理なことである。
人間にとってなくては困るもの、環境にとってあっては困るもの。ブロックチェーンと暗号通貨が人と自然が上手に付き合うための一助となるだろうか。
参考:SCジョンソン