中国工商銀行(ICBC)による、金融資産の交換を目的としたブロックチェーンプラットフォームの概要を掲載した特許申請が公開された。中国工商銀行は中国四大商業銀行のうちの一つで、2013年時点で総資産、営業収益において世界最大となった銀行である。
7月6日に公開されたこの特許では、参加者が取引を要求するとスマートコントラクトにより買い手や売り手のID、商品ID、利用者残高、取引金額、取引回数、取引時間などのうち一つ以上の情報に基づいてネットワーク内の全てのノードで検証され、銀行が事前に決定した数のノードがトランザクションの検証をすることで完了と見做される。
この公開された文書には、既存の中央集権型システムの持つ取引コストの高さや、実行効率の低さ、システムの柔軟性と信頼性の低さなどから金融商品の急速な流通の必要性が満たされていない問題などが含まれており、これらを解決するプロダクトであることが期待される。
中国は過去にも暗号通貨とブロックチェーン技術の研究をしており、5月には中国工業情報化部(MIIT)の部門から国際的なブロックチェーンの基準の作成のための調査が実施されていると報告されており、6月にはブロックチェーン技術を教育する目的のTV番組も放映された。
日本のブロックチェーン技術に関する関心度は世界有数にあると思われているが、一般的にはまだ仮想通貨による投機的なイメージの強い分野かもしれない。中国に意識レベルで後れを取れば物量では巻き返しも図れないだろう。パテント・トロールを警戒するには気が早いかもしれないが、思わぬ根幹技術が特許で雁字搦めにならないとも限らないのではないだろうか。
参考:ETH News