イーサリアムの考案者であるVitalik Buterin(ヴィタリック・ブテリン)氏は、Tech Crunchが主催するブロックチェーン技術のプロモーションに特化した特別イベント「Tech Crunch Sessions:Blockchain」に登壇し、小説家でソフトウェアエンジニアでもあるJon Evans氏のインタビューに答える形でブロックチェーン技術が社会にどのように影響しているかについて語った。

主題となったのは、ブロックチェーン技術が世界的に受容されるために解決しなければならない主要な問題の一つである「中央集権型」対「分散型」についての問題だ。

今日、プライバシー保護に対して懸念を持つ人は多くいるが、ほとんどの人々はそのプライバシーを簡単に犠牲にし、安全な取引のために中央集権型を選択している。これは分散型の重要性に対する国人の認識である。しかし、最近は仮想通貨の利用者が劇的に増えてきたことで、Buterin氏にとってはこの認識の問題は主要な焦点でなくなりつつあると言う。

「2013年、GHash(ビットコインのマイニングプールの計算能力)が51%になった時、皆が驚いた。しかし、今ではすでに二度も起こっており、大きく騒ぎ立てるようなこともなくなった。」

Buterin氏がこのイベントで何度も取り上げたのは、51%攻撃についての懸念だ。中央集権型のグループがネットワーク全体をコントロールすることができるという問題は、Buterin氏にとっては潜在的な問題であると言う。

イーサリアムは、この状況を避けるためにPoS(プルーフオブステーク)への移行を検討していることをButerin氏は語った。しかし多くの人は、この提案はより多くの資産を持っている人々だけが儲かるのではないかということを指摘しており、批判の対象となっている。

Buterin氏は、BTCとBCHが合わさった力の約53%を制御するBitmainの過剰なパワーを例に挙げて、「PoSが“豊かに富む”なら、PoWは“豊かに富む、の二乗”だ。」と延べ、この意見に異を唱えた。

「中央集権型の取引所は地獄でどこまでも焼かれてしまえば良いと私は願っているよ。」

このように、中央集権型の取引所を痛烈に批判したButerin氏だが、彼も無意味に述べているわけではなかった。これは、ブロックチェーン技術でありながらもパワーが集中することで中央集権になってしまう矛盾に異を唱えたとも言えるだろう。

最近ではDEX(分散型取引所)なども注目されている。「権力の乱用」は常にButerin氏の主な懸念の一つでありまた、取引所に上場するために1,000~1,500万ドルの手数料を払う理由を正当化する論理的な理由は何もないとも付け加えた。

参考:Tech Crunch