現在、仮想通貨交換業は改正資金決済法によって規制されているが、金融庁がこの度、金融商品取引法(金商法)に移行させるよう検討していることが分かった。3日、産経ニュースによって伝えられている。

改正資金決済法では、仮想通貨交換業の登録を義務付けているが、顧客資産の保護が十分にされないなどが課題となっている。これを金商法に移行することで、顧客保護の強化をすることが狙いだ。

仮想通貨は改正資金決済法の下では決済手段として位置づけられているが、金商法で規制されることとなれば、「金融商品」として位置づけされる。金商法では顧客資金や有価証券を会社資産と分別管理することを義務づけており、さらにインサイダー取引も禁止されるため、投資家保護と市場の健全化が大きく前進するだろう。

今年1月、コインチェックでのNEM流出事件があり、被害額は仮想通貨市場最大となる580億円。顧客が多い交換業者だったため、これにより市場の冷え込みに影響もあったとも見られている。

こういった背景から金融庁は仮想通貨交換業者に対し、厳重な管理をさせるため、内部体制の見直し調査を行い、杜撰な管理をしていた複数社に対し業務改善命令の処分を下している。

産経ニュースによると、金融庁内では「金商法を適用することで、仮想通貨にお墨付きを与えたと誤解を招く」といった慎重な意見もあったという。しかしながら、顧客保護の観点からは金商法への移行は市場にとって大きな好材料だと考えられるだろう。

金商法は「国民経済の健全な発展及び投資者の保護に資することを目的」としており、直接的には「企業内容等の開示の制度を整備」(第2章 - 第2章の4)、「金融商品取引業を行う者に関し必要な事項を定め」(第3章 - 第4章)、「金融商品取引所の適切な運営を確保」(第5章 - 第5章の2)、その他(課徴金、罰則等、自主規制団体など)について規定する法律。

金融庁からの正式な発表はまだされておらず、具体的な移行の時期についても現在明らかにされていない。

参考:産経ニュース