米投資銀行のStifel(スタイフェル)が米ボストン州にあるインターコンチネンタルホテルで「Stifel 2018 Cross Sector Insight Conference」を開催し、Ripple(リップル)のCEOであるBrad Garlinghouse氏が登壇した。

スタイフェルのテクノロジーアナリストのLee Simpson氏のインタビューに応えるかたちで、Garlinghouse氏はブロックチェーンや、自社のXRP製品、ビットコインについての見解を述べた。

「ブロックチェーン業界には多くの狂気的な動きがある。しかし、市場の勝者には3つの指標がある。『製品の市場の適合』、『顧客牽引力』、『規制の遵守』の3つだ。ブロックチェーンが銀行を崩壊させるということはなく、そう考えるのは短絡的である。むしろシステムの仕組みに重要な役割を果たすと考えている。」

ブロックチェーンの優位性を説いたGarlinghouse氏は、ビットコインについても独自の見解を語った。ビットコインは、「私達が思っているようなあらゆる問題を解決するような万能薬ではない」と説明し、新興市場に焦点をあて、将来はリップル社のXRP製品が流動性を管理していくと語った。

XRPを“決済のための最高のデジタル資産”と表現し、ビットコインがトランザクションに45分かかるのに対し、XRPは4秒しかかからないことを例にあげ、この点を主張した。

「(アップルの共同設立者の一人である)Steve Wozniak氏をはじめ、数多くの著名人がビットコインが主要通貨であるという見方をしている。私はそんな考えは馬鹿げていると思っている。主要経済がビットコインをそのような通貨として扱うことを許すとは考えられないし、そもそもそんなものは意味をなさない。」

ビットコイン市場に多大な影響力を持っている国と言えばまず中国があげられるが、Garlinghouse氏は「ビットコインは中国が支配している。」と語った。

中国にはビットコインの50%以上を支配している4つのマイナー(採掘者)が存在すると言い、「非公式な情報である。」と前置きしたが、仮想通貨のマイニング事業のシェアのほとんどが中国企業である現状を考えれば、ある程度信憑性を持っていると考えて良いだろう。

「中国が介入してこないと言えるだろうか?中国が統制する通貨を使いたいという国がどれだけあるだろうか?(主要通貨になることは)絶対にあり得ない。」

ビットコインが主要通貨になることを強く否定したGarlinghouse氏だったが、自身もビットコインを所有していることを明らかにした。しかし、あくまで長期的に保有してもいい仮想通貨として考えていることを説明し、投資額も失ってもいいと思える額を投資するべきであると助言した。そしてそれがベストな投資戦略であると伝えている。

「まぁ、私は投資アドバイザーではないので、今話したことは全て無視して下さい。」

Garlinghouse氏がこのように付け加えると、聴衆者は笑いに包まれた。しかし、今年はじめには「いずれは多くの仮想通貨の価値がゼロになる」という見解も述べたGarlinghouse氏。実際、2018年第1四半期には仮想通貨市場全体の時価総額は1月1日時点と比較して約48%分を失っており、市場は底を打ったとも囁かれている。

Garlinghouse氏は投資アドバイザーではないかもしれないが、同氏の言動やリップル社の情報公開には今後も注目していきたい。

参考:The Street