ブロックチェーン・プラットフォームを利用することで、飛躍的に取引処理時間を短縮することを可能にした“クロスボーダー決済システム”。グローバルEC・越境ECが広く普及する今の時代において特に大きく影響を受けるのは、世の中小企業であると言えるだろう。

今の経済を支えているのは中小企業であると言っていいが、彼らにとって重要なのは供給者が支払いを受けるかどうかではなく、自社のビジネスに集中できるかどうかである。これまでのグローバル決済だと、間に多くの仲介が必要となってくるだけでなく、取引の処理時間がかかるうえに、エラーの発生リスクも増えてくる。

米コンサルティング大手のマッキンゼー・アンド・カンパニーによると、国境を超えた企業間の支払いの60%は20分以上かかる手作業による介入が必要であると言う。決済に関わる課題解決は、多くの中小企業の問題を解決することにもつながっていくだろう。

2018年6月4~6日オランダのアムステルダムにて行われた「Money20/20 Europe」の最終日に、The Bankerの副編集長Joy Macknight氏と、アメリカン・エキスプレスの副社長でありイギリス及びロシアのグローバル商業サービス統括責任者のColin O'Flaherty氏、リップルのカスタマーサクセス部門シニア・バイス・プレジデントであるMarcus Treacher氏の3名によって、中小企業が抱えるクロスボーダー決済の課題についての会談が行われた。

「リップルの技術は、送金者と受取人の間で瞬時にP2Pでの取引を可能にしてくれる。これは、顧客が直面している問題のほとんどを軽減してくれます。」

リップルのソリューションを挙げたO'Flaherty氏によると、中小企業は確実かつ迅速に資金を移動する必要があることを前提として上で、中小企業が抱える問題の71%を占めているのはこの国境を超えた支払いであることを指摘した。

米クレジットカード大手アメリカン・エキスプレスはこの問題を強く認識しており、現在リップルと共同で問題解決に取り組んでいる。銀行による国際送金時における即時決済と送金情報の全てのプロセスの可視化を可能にする法人向けのソフトウェアとして、リップルのxCurrentがあるが、このソフトウェアによってアメリカン・エキスプレスの顧客は最高のユーザー体験を得ている。

Treacher氏によると、中小企業にとってリップルの技術の導入は決して難しいことではないと言う。その理由として、すでに存在しているネットワークや銀行業界の中で実装されている点を挙げた。

実際、アメリカン・エキスプレスの顧客はすでに支払いが早くなっており、支払いステータスについての顧客の問い合わせも減少しているとO'Flaherty氏は強調した。

さらに、リップルとアメリカン・エキスプレスが提携することで、技術的な面だけでなく、リスクや顧客サービス、詐欺の問題など、あらゆる観点から整合することで顧客に利益をもたらす“総合的な経験”を提供できるとO'Flaherty氏は語り、会談の最後を以下のように締めくくった。

「私達はまだ初期段階にあり、現在多くのことを学んでいます。ブロックチェーンは、顧客の真のニーズを解決する大きなチャンスを提供してくれると考えています。」

現在システムの実装は限定的に行われているが、今後はより広い範囲での利用も考えられる。リップルとアメリカン・エキスプレスの今後の動向が注目される。

参考:Ripple