米国の規制の複雑さは、DLT(分散型台帳技術)のスタートアップを後退させていると、米国の政府監査院(GAO)が22日、報告書を公表しました。

GAOは、この部門に関連する利益、リスク、および規制を調べるフィンテックの幅広い分析を報告書として発表し、また、規制を改善するための勧告などもしており、「議会の監視人」ともしばしば呼ばれている機関です。

DLTの企業によると、米国は“規制的な解釈”ばかりを気にしているせいで、規制の明確さが欠如し、そのことが革新的な製品やサービスの立ち上げの遅延、または立ち上げる機会自体を無くしてしまう原因になりかねないと言います。

今回のGAOによって発表された報告書では、以下のように記載されています。

「米国の金融規制構造は複雑で、規制に従うとともに明確にする必要があるというフィンテックの企業能力を複雑化させる恐れがあります。」

報告書ではさらに規制は州ごとに異なるゆえ、各州でライセンスの取得を行う必要があるという点などを指摘。しかし、このライセンスはスタートアップにとっては法外な値段であることからハードルが高いことで知られています。こういった点も新技術によるイノベーションの足枷となっているとの見解もされます。

仮想通貨に関しての報告においては、取引の不可逆性、潜在的な盗難、および不正なトークンの販売をリスクとして挙げています。DLTについては、新たなテクノロジーは通貨、金融派生商品、および有価証券取引の決済時間の短縮、および支払いに伴うコストを削減することが出来る点などを述べる一方で、サイバーセキュリティ問題などの懸念事項などにも焦点を当てています。

GAOがフィンテックやブロックチェーン、仮想通貨について研究したのは今回が初めてではありません。2017年4月、GAOの事務所はブロックチェーン技術を調査し、現時点での業界の動向を概説した報告書を発表しました。当時はブロックチェーン技術/DLTに新しい規制が必要かどうかは不明瞭でした。

また、GAOは2017年1月に、IRS(アメリカ合衆国内国歳入庁)が納税者に個々の退職勘定をブロックチェーンに基づく資産(仮想通貨・暗号資産など)に投資する潜在的な責任を知らせる措置を講じるべきであるとの報告書も発表しています。

参考:CoinDesk