仮想通貨は世界経済にリスクをもたらすものではないと、FSB(金融安定理事会)の議長であるMark Carney氏はG20のメンバーに宛てた手紙で主張しました。

一部のG20メンバーからは規制強化を求める声もあったようですが、FSBの議長を務めながらイングランド銀行の総裁でもあるCarney氏はこれに対し、今週19日からアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開催されているG20に先立ち、参加国の中央銀行と財務大臣に対する文書の中で、以下のように述べました。

「FSBは、現時点では、仮想通貨は世界の金融安定にリスクをもたらさないと結論づけました。それは金融システムの中で市場規模がとても小さいからです。」

また、昨年末に仮想通貨の価格高騰がピーク時だった時でさえ、その市場価格は世界のGDPの1%に満たなかったことも指摘しました。

Carney氏は、来年イングランド銀行総裁の任期を終えることになりますが、その後継者が誰であれ、新しい基準を打ち出すのではなく、ルールを見直すことに焦点を当てたよりオープンな監視をする方針となることを予告しました。

金融危機の原因となった閉鎖的な状態を修正していくにつれて、FSBは、G20による改革の実施へ向けた新たな政策や、厳格な評価に向けてますます揺るぎない方向に向かっていると言います。

急速に市場が拡大している仮想通貨業界は依然として小さな分野をモニタリングしているため、そのギャップを埋めるために今後はより多くの国際的調整が必要となってくることも強調しています。

しかし、米国のドナルド・トランプ大統領は昨年、金融危機後の銀行業やそこから派生した改革を縮小し、経済への貸し出しを促進するように米国の監督当局に命令をしました。この動きにより、国際的な規制機関に対して長い間乗り気でなかった米国が国際協力や断片化市場に対して背を向け始めることになる恐れがあると懸念している規制当局も少なくないはずです。

しかし、Carney氏によると、FSBはよりオープンで規律的で効率的になると述べており、すでに4分の1の作業グループが削られているとのことです。Carney氏は月初にも、イングランド銀行自身がデジタル通貨を発行する可能性について「オープン・マインドを持ち続ける」と語っており、金融システムの大規模な改善に実際につながる可能性のあるイノベーションを阻害しないよう、過度な規制や完全な禁止をしないようにすると語りました。

今回のG20でドイツとフランスが規制について共同提案する方針を表明するなど規制を求める声がある一方で、イングランド銀行の総裁はその逆を表明。このG20以降に、仮想通貨の国際的な規制議論がどう展開されていくのかが注目されています。

参考:EXPRESS