先日、南米ベネズエラにおいて石油に裏付けられた仮想通貨ペトロが発行されことで話題となりました。ベネズエラ大統領であるマドゥロ大統領はツイッターにて7億3,500万ドル(約786億円)が集まったとして伝えています。
さらに今回はペトロの第二弾として金の備蓄量に裏付けされた官製仮想通貨ペトロ・オロを来週に立ち上げる予定とされています。「オロ」と言うのは「ゴールド」と言う意味です。
一部のベネズエラ国民からは支持を受けている事もあり、現状のベネズエラ情勢を改善するのに官製仮想通貨は希望を与えています。しかしペトロや今回のペトロ・オロに対して官製仮想通貨と言えども懸念材料はあります。例えば発行したはいいものの、実際に使われることが無ければ暴落する事も考えられるでしょう。
今回はベネズエラが国内情勢の緊急性に基づいて発行したのであって、情勢が変われば官製仮想通貨はどのような立場を取るか不透明なのが現状です。また、ベネズエラのこのような対応は他国に対しても影響を与え、トルコやイランも独自の官製仮想通貨発行を検討しています。
財政難を感じている国が金融政策として今後仮想通貨を発行する流れが続けば、為替相場のあり方も変化をしていくことでしょう。
国にとっては資源を「裏付け」との名目上に仮想通貨を発行するのであれば、資源保有と仮想通貨による資金調達の両面から金銭を得ることができるため、仮想通貨の信憑性には今後このような裏付けに基づく問題も指摘されてくることも考えられます。
実際、トルコにおいてはトルコ政府宗教局(Diyanet)が、仮想通貨の取引は投機的な性質を持っている事から、イスラム教に対しては「適さない」と発言しています。これは実物資産ではないからです。官製仮想通貨は、今後通貨としての倫理観に対しても議論されて行くことになっていくでしょう。