スイスの金融監査機関であるFINMA(the Swiss Financail Market Supervisory Authority)がICO(イニシャルコイン・オファリング:仮想通貨の新規発行による資金調達)に関するガイドラインを作成しました。

ICOに関するガイドラインを作成した目的は、問題となっているマネーロンダリング(資金洗浄)などを防止、監視、規制するためとしています。

スイスは世界の中でも仮想通貨に対し、前向きに向き合っている国として有名ですが、その分ICOを実施するプロジェクトが急激に増加しているためにICOに関する問い合わせも増加しています。そのため、今回のガイドライン作成に至ったとのことです。

FINMAはただ発行されるトークンの利用目的を知るだけでなく、ICOによって発行されたトークンがICOの発行時点で取引可能、もしくは譲渡可能であるかを念入りに調査されます。

これはICOによるトラブルや苦情がさまざまなところで出てきている事もあるためであり、国の金融監査機関がガイドラインを作成する事で、無法地帯となっている他の諸国にもルール作りに良い流れをもたらすことも期待できます。

FINMAが定義付けるICOトークンとして、以下の3つのカテゴリーに分類されます。

1、Payment ICOs(決済用トークン)

「受け渡しが可能で、決済手段としての機能を果たすトークン。マネーロンダリングを防止する目的の資金洗浄防止取締法に遵守する必要がありますが、有価証券として扱われません。」

2、Utility ICOs(ユーティリティトークン)

「アプリケーションやサービスの提供のためのトークン。そのために有価証券とは取り扱われませんが、投資対象の発行トークンとして機能するのであれば、有価証券として分類されます。」

3、Asset ICOs(資産トークン)

「有価証券として取り扱われるICOトークン。トークン保有者への配当や資金調達の手段など提供する場合には資産や債券として分類。有価証券と取り扱われるために厳格な認可要件をクリアする必要があります。」

先日、米ニュージャージー州において仮想通貨投資サイトであるビッツトレード(Bitstrade)が同州規制当局から業務停止命令を受けた事で、いかがわしい業者においては規制を強めています。

これはSEC(米証券取引委員会)の管轄ではありますが、スイスの今回のルール作りをする事で、どの種類のICOトークンかを見極めることが出来、投資家にとっては、健全な環境で安心して参加・トレードすることができるようになります。

日本では改正資金決済法に基づき、金融庁が監督するなど、整備を進めていますが、これからさらに仮想通貨におけるルール作りを細かにしていく必要もあるため、スイスの例は良い教訓になることが期待されます。