ドイツ最大のメガバンク、Deutsche Bank（ドイツ銀行）のストラテジストであるJim Reid（ジム・リード）氏が現在使われているフィアット（法定通貨）に対して不安定であるとし、自身の見解を述べました。
リード氏の見解によると、決済通貨が価値のあるものに裏付けされていないことを指摘し、例えば数十年前の通貨は金によって価値が裏付けられていましたが、これが切り離されて以降、不安定でインフレを起こしやすくなったと見ています。これは政府や中央銀行により新しく紙幣が印刷され、多く流通すればインフレが加速していくだけなので、経済を持続していくのは困難だという意味合いを持っています。
リード氏はこの根拠として、中国を例に出しています。1970年代に中国では急速に経済が発展し、世界での就業人口が爆発的に増加したため、グローバリゼーションでの労働供給も加速しました。これによって外部からインフレ抑制を可能にしていましたが、この状況はディスインフレを押さえつけているだけで、徐々にインフレは進行していくとし、すぐにショックが起きるわけではありませんが、財政的崩壊が起こるのは時間の問題だとしています。
リード氏はさらに、財政破綻のリスクを軽減するために、ブロックチェーンを用いた仮想通貨を普及させていくことも可能性のひとつとして考えられると言います。
「現在の仮想通貨における投機的な関心は、紙幣の信用が無くなったことよりもブロックチェーン技術が重視されています。ある時点で、より普遍的な取引媒体として紙幣と競合する可能性があります。」
人民元は値下がりを続けています。紙幣としての信用も薄まっている中、仮想通貨の取引を禁止した中国ですが金融政策として独自の仮想通貨を発行するとしています。
リード氏は早くも中国を引き合いに出し、フィアットの価値を指摘しましたが、このような見解も今後は増えてくると考えられます。