中国では、今年9月にICO(イニシャル・コイン・オファリング:仮想通貨の新規発行による資金調達)を禁止したばかりで、また中国国内での取引所を閉鎖させるなど仮想通貨に対して厳しい規制が強いられている。

原因のひとつとして、人民元の国外流出が続いたため、これに歯止めをかけることが目的とも見られている。PBoC(中国人民銀行)では独自の仮想通貨を発行することを重要視しているという。

South China Morning Postによると、中国人民銀行で研究をリードするYao Qian(ヤオ・キアン)氏が取引コスト削減や、金融サービス拡大、金融政策の効率化を図れるとし、以下のように話した。

「デジタル経済の発展には、中央銀行発行の電子通貨がこれまで以上に必要とされています。」

「研究と発行をスピードアップすることは重要です。」

ヤオ・キアン氏はまた、

「仮想通貨の追跡は容易であり、中央銀行はその速度と所在を監視し、それに応じて金融政策を改善することができます。」

と付け加えている。

今年に入ってから人民元が暗号化されるといった話も散見されたが、この発言によりこれが実現されようとしていることは明らかだ。また、ロシアではすでに独自の仮想通貨「CryptoRuble(クリプトルーブル)」を発行に向けて開発を進めている。

中国では仮想通貨の取引が禁止され、市場規模も縮小している。9月にICOが禁止されてからは、ビットコイン価格が大きく下落し、一時30万円台まで割り込んだ。

中国では仮想通貨取引が活発だったため、この時は市場を混乱に招いたが、ただちに回復し現在は80万円前後と高値水準で推移している。人民元が暗号化され、当局により管理された上で仮想通貨の取引が認められる日は来るだろうか。それとも規制強化の構えが厳しくなるのか、今後の規制方針に関心が高まっている。

参考:South China Morning Post