以前続く隣国との緊張だが、29日早朝、またしても日本北部側にミサイルが発射された。ミサイルは北海道上空を通過後、北太平洋に落下。領域内での落下物は未確認とし、航空機や船舶その他、人的な被害も確認されていないという。
日本の上空を通過したということで、一時は騒然となったがこの前後で、ビットコインやアルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)などの大きな価格推移が確認された。
もともとボラティリティ(価格変動率)の高い相場なので、直接結びつけるのも短絡的だが、これを「有事のビットコイン」として、資産を移動させたという見方もされており、戦争など危機の場合は以前はドル、ユーロ、円などが買われたが、最近ではその選択肢のひとつとして仮想通貨が加わったとも考えられている。
ビットコインの価格だけをみても、前日安値の1BTC/4,200ドルほどから29日15時現在では、1BTC/4,400ドルあたりを推移している。(CoinMarketCapの統計より、以下同)
また、ミサイル発射の前後では、日本時間午前5時50分では4,340ドルに対し、7時10分では4,400ドルと、ミサイル発射から1時間20分にして60ドル価格を上げている。単なる偶然という見解もあるが、万が一に備えてビットコインを買った人がいることも事実ではある。
主に取引が多かったのは、ドルと韓国ウォン、人民元が主で、日本円では取引量は少なかった。日本円はユーロやドルと並んで比較的信用が高い通貨であるため、買いが強まったと考えられ、108円台と円高となっている。有事の円は健在のようだ。
ビットコインは政府など中央集権による管理がないため、世界共通の通貨として利用できるというメリットが大きい。また、有事への備えでなくても自国通貨の信用が低い国や地域では積極的に利用されている。
投資や投機としての魅力も強いが、いざという時にもいくらか持って入れば心強い。しかしながら、必ず稼げるといったものでもないし、損をするリスクもあるため、購入する際は慎重な判断が求められる。
ビットコインは高値水準が続いているが、このまま続伸となるか、買い疲れて調整局面となるか、今後の相場動向も注目していきたい。また、資産の逃避先などを常日頃から想定して備えることは大事だが、有事が起きないことを一番に願いたい。