仮想通貨において、“ハードフォーク”という言葉を聞くとどのようなものを思い浮かべるだろうか?おそらく大半の方は先にビットコイン(BTC)から分岐したビットコインキャッシュ(BCH)の印象が強いかと思われる。

また、TheDAOの件でもイーサリアム(ETH)に対してハードフォークを行うことにより、イーサリアムとイーサリアムクラシックに分岐した。「ハードフォーク=分岐」といったことを連想される方も少なくないが、ハードフォーク自体は特段珍しいものではなく、その他の仮想通貨でも頻繁に行われている。

例えば、性能向上のアップデートのために行うことが多く、直近ではネム(XEM)が今月20日にハードフォークを行い、仕様変更がされた。具体的には10,000XEM以下で取引をする際の手数料が1XEMから0.05XEM、上限が25XEMから1.25XEMまでと引き下げられ、より低コストでの取引が可能となった。

このように利便性向上のためのアップデートを目的とするものが多いが、イーサリアムも新機能の実装をするため、新規格の「メトロポリス」が2017年の9月中にリリースされる予定となっている。

イーサリアムの技術的な面は、かなり複雑で技術者など専門家であっても、そのすべてを理解できている方は少数派だという。難しいことは省いて、簡単に説明させていただくと、現段階でのイーサリアムは4段階中に2段階目で、開発中である。

開発段階の順番は「フロンティア」→「ホームステッド」→「メトロポリス」→「セレニティ」と開発されていく流れで、現在は2段階目のホームステッドとなっている。メトロポリスへのアップデートは、仮想通貨Zcashの技術でも使われている匿名性を強化する技術「zk-snark」が実装される。

また、スマートコントラクトも簡略化されるので、プログラマーなどのデベロッパーも、より簡単にプログラミングが実行可能となる。これによってイーサリアムベースで多くのアプリケーションの開発が進められるだろう。

こういったことから、9月のメトロポリスへのアップデートは好材料と考えられる。もちろん相場上昇に対して即効性があるかと言えば、ビットコインに対するハードフォークのような話題性には欠けるため、判断は難しいところではある。しかしながら、メトロポリスの実装が好材料であることには違いない。

イーサリアムは21日現在で、1ETHあたり34,600円と、前日(24時間)との比較では7.3%のプラスとなっている。(CoinMarketCapの統計より)イーサリアムは特に技術的な面が注目されるが、相場への影響も期待されている。