米連邦捜査局(FBI)が、現在130件の仮想通貨に関連する調査を行っていることが分かった。28日、Bloombergによって伝えられている。
特別捜査官(エージェント)のカイル・アームストロング氏は、ニューヨークで開催されたCrypto Evolvedカンファレンスで、「人身売買」、「麻薬取引」、「ランサムウェアによる身代金要求」などの犯罪を含む調査をしていることを明らかにした。
さらに、FBIが焦点を当てる必要がある分野の一つとしてオピオイド(麻薬性鎮痛薬)の売買を挙げた。世界中の薬物使用者のおよそ10%が、違法なデジタルマーケットプレイスを介し、オンラインで薬物を購入しているという。
麻薬取引を巡っては、今年2月にもマイクロソフト創設者のビル・ゲイツ氏が「仮想通貨は直接的に死を招く」と、警鐘を鳴らしている。
また、米国の一部の地域では、仮想通貨を悪用して恐喝をする手口が増加しているのが現状だ。これらの捜査は、エージェントが抱えている数千件の事件のうちのほんの一部に過ぎないとアームストロング氏は指摘している。
今月13日には、米下院金融サービス委員会が人身売買と仮想通貨の関係性を調査する法案を提出した。
仮想通貨を使用することで現金を伴う犯罪とは異なり、ブロックチェーンの不変性によって取引を追跡するのが容易になる一方で、匿名性または偽名での取引が犯罪捜査を困難にするデメリットもあるという。
日本国内においては、指定暴力団がマネーロンダリング(資金洗浄)目的で仮想通貨を利用するといった事例が表面化しており、また、薬物や銃器などの売買に使われることも懸念されている。
取引所にはKYC(顧客確認)/AML(マネーロンダリング対策)の徹底など、課題は山積みだ。当局により市場が健全化されることが望まれる。
参考:Bloomberg