東京を拠点とする指定暴力団が仮想通貨を介し、犯罪収益をマネーロンダリング(資金洗浄)していることを、中国人男性の仲介役が証言したとして毎日新聞によって伝えられています。2016年春以降に資金洗浄した金額は、およそ300億円にも登るとしています。

同紙によれば、2016年春以降、一部の指定暴力団が得た犯罪収益を海外を含む複数の仮想通貨取引所を経由し資金洗浄したとのことです。

匿名性の高い仮想通貨は投資家だけでなく犯罪者にも人気があり、主要な通貨であるジーキャッシュ(ZEC)やモネロ(XMR)、ダッシュ(DASH)は1,000種類以上ある仮想通貨の中でも上位100位以内に位置しており、日常的に犯罪資金の移動に利用されています。

匿名性の高い通貨は追跡が困難だという面があり、闇マーケットで使われるケースが多々見られます。例えば今では閉鎖となっていますが、ネットで闇取引が出来るサイトとしてアルファベイがモネロを採用した事でも以前話題となりました。

資金洗浄の手口は、中国仲介役の指示により日本人を中心とする複数の実行役が、まず日本の取引所において資金をビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)に交換するところから始めます。

その後、本人確認なしで口座を開設できる海外の取引所であるYobitなど複数の取引所の口座に仮想通貨を分散して送金します。

そこに送られてきた仮想通貨を匿名通貨であるジーキャッシュやモネロ、ダッシュに交換した後、複数の取引所の口座間で移動を十数回繰り返し、追跡を困難にした状態で、現地の協力者が現地通貨へと現金化し、その後、商取引を装って日本円に交換する流れです。

以前から資金洗浄をする時は匿名性の高いモネロやダッシュ、ジーキャッシュなどが利用されているという声は散見されていましたが、今回、指定暴力団が匿名通貨を使った資金洗浄が発覚した事で、今後金融庁が取り締まりを強化する事も考えられます。

以前コインチェックでは匿名通貨が頻繁に取引されていましたが、現在は、日本の取引所で匿名通貨を取り扱っているところは1つもなく、今、金融庁と調整をしている大手仮想通貨取引所であるバイナンスでもまだ日本では登録がされていない状態となっています。

今後、海外の仮想通貨取引所や匿名性の高い仮想通貨を国内で利用する際、金融庁がガイドラインを作成してくる可能性も考えられますが、仮想通貨を利用した資金洗浄の手口は様々な方法がありますので、どこまで対策を立てられるのか?また、資金洗浄ができないように規制するとなれば厳しい基準になってしまうことも想定されます。

資金洗浄行為は日本では犯罪です。例えば規制薬物取引に関する資金洗浄の場合は「麻薬特例法」、組織的な資金洗浄は「組織犯罪処罰法」によって禁止されていますので、仮想通貨ユーザーの皆様は絶対に真似をしないようご注意ください。

参考:毎日新聞