3つのヘッジファンド・インデックスから提供されたデータは、仮想通貨ヘッジファンドが2018年5月の弱気市場でかなりのマイナスになったことを示している。

5月の仮想通貨ファンドは弱いパフォーマンス

The Eurekahedge Crypto Currencyヘッジファンドインデックスは、仮想通貨ファンドによる損失が5月に11.66%、昨年(YTD)の実績が-22.71%と推定している。

ヘッジファンド分析会社、Hedge Fund Research Inc.(HFR)は、5月中に仮想通貨市場全体が15.48%減少したと推定し、年初来からのパフォーマンスを同社のHFR Blockchain Indexに対して-33.3%となった。

また、ヘッジファンドのデータ分析を行う、Barclay HedgeのCryptocurrency Traders Indexは、ヘッジファンドのパフォーマンスが5月で19.14%、年初来で34.6%低下したことを示している。

Barclay Cryptocurrency Traders Index 2018年5月

3社のベンチマークにズレが生じるのは、それぞれ異なるファンドをモニターしているため。Eurekahedgeは指数が2018年4月に52.83%の増加と持ち直し、Barclay Hedgeのインデックスでも4月に44.86%の増加と、持ち直した反動で5月は弱い動きとなったと見ている。

仮想通貨が長期的には楽観視される理由

アナリストは、5月の下落と日々の高い変動性(ボラティリティ)にも関わらず、最近のSECの声明と新たな機関投資家の資金など楽観的な理由があると信じており、特にアジア圏での仮想通貨の普及が進むと見ている。

個人投資家は、仮想通貨市場の不安定さを欠点と見なすかもしれないが、多くの市場参加者はそれをチャンスと見なしている側面もある。また、機関投資家の長期的な楽観見通しが、短期的な価格下落動向よりも重要な着目点になるだろう。

Eurekahedge Crypto-Currency Hedge Fund Index

HFR指数部門の量的調査担当ディレクターである、Josh Gu氏によると、アジアの投資家の関心が高まっていると言う。

「仮想通貨は変動幅が非常に大きく、中国や日本ではまだまだ根強い人気があります。しかし、中国の規制当局は、いくつかの仮想通貨取引プラットフォームを禁止しているため一部の投資家はパニックに陥っている可能性もあるでしょう。」

規制を巡っては、国によっても異なり、例えば隣国の中国ではPBoCにより一部のプラットフォームやICO禁止など厳しい規制を強いられているが、日本では金融庁が監督しており、仮想通貨交換業者に対して厳しい視線を送る一方で、ユーザーに対しては比較的緩和に向き合っている。また、法令に基づかないケースでは自主規制団体が、提案をするなどを行っている。

まだ未熟ではあるものの規制が整備され、機関投資家ら大口が参入しているのが現状。今後の仮想通貨市場の拡大と、技術の発展に大きな期待が寄せられている。

参考:FINANCIAL TIMES