ADGM(アブダビ・グローバル・マーケット)の金融サービス規制庁(FSRA)が9日、ICO(イニシャル・コイン・オファリング:仮想通貨の新規発行による資金調達)と仮想通貨に関する規制方針を明らかにしました。

世界的に普及を進める仮想通貨のマーケットですが、規制の面ではまだ追いついていない部分もあり、ICOについてはとくに透明性が求められるものとし、詐欺のリスクを強調したうえで注意喚起をしています。

また、今回のガイダンスではICOのリスク注意だけでなく、可能性についても触れています。FSRAのCEOであるRichard Teng(リチャード・テン)氏は以下のように説明しています。

「ICOは資本形成の仕組みを変え、国際的に規制の枠組みづくりは、この革新に適応するように進められている。市場に価値を与え、規制当局の枠組み内で活動したいICOの発行を検討している企業は、早期に関与させて適用される規制についての理解を得ることが奨励される。」

簡単に言えば、規制の範囲内でのICOを検討している企業は認めるということです。また、仮想通貨についてはその根幹技術であるブロックチェーンはもとより、DLT(分散型台帳技術)に焦点を当てているように伺えます。しかし、仮想通貨そのものについてはコモデティとしての扱いとされるとのことですが、FSRAにより具体的な例を取り上げられていないため、今後どのような扱いに分類されるかは現状では不透明となっています。

ADGMは、今年、DLTを活用した一環のプロジェクトに参加するフィンテック企業と連携していくため、UAE大手の外国為替・国際送金サービスUAEエクスチェンジとの提携もしています。UAEエクスチェンジは多くのブロックチェーン事業に出資していることでも知られています。最近では、米サンフランシスコに拠点を置くフィンテック企業、Ripple社の送金ソリューションにより、リアルタイム送金を目指すとして提携したことでも話題となりました。

また、今月22日から23日まで開催される「FinTech Abu Dhabi 2017」では、スタートアップアクセラレータのPLUG AND PLAYのCEO、SAEED AMIDI氏や、MASのCFO(最高技術責任者)SOPNENDU MOHANTY氏などが基調講演を務めます。UAE国内外のフィンテック企業も参加するとあって注目度の高いカンファレンスとなっています。

ここでも何か重要な発表などが期待されます。中央銀行発行の仮想通貨など、CBCCとして法定通貨を暗号化するとなると、実現にはもう少し時間が必要かもしれませんが、UAEではどういった流れでDLTを国際送金に活用していくのか、今後の展開にも注目です。

参考:ADGM