世界経済フォーラム(WEF)は21日、気候変動への取り組みのために「Crypto Sustainability Coalition(暗号サステナビリティ連合)」を設立したことを明かした。暗号サステナビリティ連合は暗号通貨やブロックチェーンなどといったWeb3テクノロジーの可能性を調査するための組織であると説明している。
ブロックチェーンを活用することで世界のカーボンクレジット市場の透明性を向上させることができるか、または暗号通貨マイニングは分散化されたオフピークの需要を通じて再生可能なマイクログリッドのビジネスケースを後押しする可能性があることなどを検討していく。
一般に暗号通貨やブロックチェーンはその多大なエネルギー消費問題から気候変動への取り組みからは敵視されがちなテクノロジーだが、今回WEFは新たにそれらのテクノロジーを利用したサステナブルな活動を行うことが出来ないか模索していく試みを示した。
WEFのブロックチェーンおよびデジタル資産に関係する責任者のブリンリー・リル氏はこう述べている。
「Web3 の重要かつユニークな側面は、テクノロジーを使用して、コミュニティの直接的な関与と行動をサポートし、報酬を与えることです。これは、多数の個人の作業を相互に直接調整できることを意味し、集中管理なしで集団行動を可能にします。」
連合は当面3つの問題に取り組むためにワーキンググループを招集していると述べている。
一つは「エネルギーの使用」に関するもので、暗号通貨業界のエネルギーと材料の消費を分析し、気候と自然への影響をより明確に把握するための活動だ。
さらに「Web3の気候変動対策の可能性」で、気候変動にかかわる国際間の協定を示したパリ協定の実現のためにWeb3がどのような課題を克服出来うるかを調査していく。
そして「オンチェーンカーボンクレジット」についてだ。省エネ機器の導入にインセンティブを与えるカーボンクレジット制度だが、グローバル市場が必要としている規模やペースで市場から炭素排出量を削減するための手助けがWeb3には可能であると想定している。
連合はリスボン大学などの教育機関、RippleなどのWeb3テック企業など30の組織から構成され、1月にフォーラムによって開始されたCISAの一部の取り組みとして結成され、暗号技術の環境、社会、ガバナンスへの影響の理解を深めることを使命としている。