ナイジェリア中央銀行(CBN)が提供する銀行検証番号(BVN)サービスのサードパーティーパートナーやフィンテック企業への提供を停止し、銀行以外の事業体が国内で最も包括的な本人確認の手段を失ったとして波乱を巻き起こしている。
CBNは本人確認(KYC)の目的でBVNのサービスを開始し、BVNにより当人のリスクをチェックし、マネーロンダリングや詐欺、その他の汚職関連の活動に関わっていないかを判断するのにフィンテック企業などにより役立てられていた。
現地メディアの報道によれば今回の変更はナイジェリアの身分証明書システムを変更するという連邦政府の決定に関連する可能性があると指摘されており、連邦政府は過去数カ月間にわたり、各機関の使用する独自の識別手段を国民識別番号に変更していき、学力試験や有権者登録、SIMカード、銀行などが置き換えられてきているという。
企画の統一は効率化を促進させるように見えるが、レポートによればBVNサービスの停止は顧客のオンボーディングのコストを増加させる可能性があると警告されている。
これらの動きは現地の暗号関連プレイヤーからはイノベーションを抑制するものだとして否定的な意見が上がっており、若者が経済に参加するのを阻止しようとするCBNによる施策ではないかという懸念が聞かれる。
ナイジェリアに限らず暗号通貨を肯定的に受け入れようとするアフリカの多くの地域があり、中でもセネガル出身の音楽プロデューサー・エイコン氏の手掛けるエイコン・シティは都市全体がブロックチェーン駆動の構想を描くなど象徴的である。
アフリカで暗号通貨が受け入れられる背景には、近年ハイパーインフレのニュースが世界を駆け巡ったジンバブエなど、自国通貨がいつインフレに晒されるか不透明であり、資産減少の危機に対応したい点や、電気料金が安く、ソーラーパネルなどSDGsに配慮したマイニングに適した環境が多い点などが挙げられる。
ナイジェリアの暗号通貨取引所であるNaijaCryptoのCEOであるChiagozie Iwu氏も検証のためにBVNサービスを停止するといったCBNの決定に驚きを表明しており、暗号通貨取引所がKYCを遵守しクリーンな暗号通貨取引を行うことができるのがBVNサービスの恩恵であることを指摘し、中央側は新興フィンテックを攻撃するあらゆる手段を模索しているとも述べた。