大量に仮想通貨を保有する所謂「クジラ」と呼ばれるウォレットの動向を観察するTwitterアカウント「Whale Alert」が今月8日に13,180BTCの取引を伝えた。日本円にして実に120億円にも及ぶ大量の資金移動だが、詳細不明のアカウント同士の取引であった。
クジラは豊富な資金源を元に仮想通貨を大口保有する団体、及び個人投資家であるが、クジラのひと掻きが水面に大きな波を形成するように、彼らの動向が市場価格を大きく動かす一種の社会問題としても認識されている。
Whale Alertによれば今年8月にも大規模送金が行われたことで下落が発生したと発表しており、今回の送金が発表された際も赤色灯の絵文字を10個も連ね、フォロワーへ強い注意喚起を行った。
また、一般社団法人日本仮想通貨交換業協会によれば、世界にあるビットコインのウォレットアカウント数は2400万ほどに対して、取引の85%は約1000の口座で行われているとされ、別のデータによればクジラと呼ばれる口座のうち約3分の1が果敢に取引を行っているとされている。
全てのクジラがそうであるとは言えないが、巨大なクジラになれば単独で市場を混乱させうることも可能であり、高値で大量に売った後にしかるべきタイミングで買い戻すことで容易に市場の資産を吸い上げるようなことも実際に行っていると見られる。以上のようなことは悪意のある取引方法ではあるが、一方でクジラの持つ豊富な資金力によって市場が活性化されている面もあるためクジラ=悪とは言えない。
仮想通貨以外のマーケットにおいてもクジラの存在は注視されており、それらに倣うように大手仮想通貨取引所のBinanceがクジラ向けのサービスである「マーケットメーカー」を開始する運びとなっている。
市場を動かしうる巨大なクジラに対抗する術は一般的なユーザーにはないため、反発しようとするのではなく便乗するのが得策であり、損を被らずに利益をあげられる可能性もある。仮想通貨へある程度まとまった投資をしている方は荒波に飲まれないようにクジラの動向には注意しておきたい。
参考:Whale Alert(twitter)