米国最大の投資信託の販売・運用会社であり、確定拠出年金(401k)および退職後サービスを提供する会社の一つであるフィデリティ・インベストメンツは、独自のデジタル通貨発行を視野に入れて仮想通貨業界への参入を検討していることが分かった。
フィデリティのウェブサイトに「パブリックとプライベートの両方のクラウドにデジタル資産を作り、それを展開するエンジニアの手助けをしてくれる人材」の求人を掲載した経緯から、このことが明らかになった。同社は、ビットコインやその他の仮想通貨のカストディ(保管)サービスなどに向けて、人員採用に動いているようだ。
フィデリティの広報担当者のジェシカ・マックドーナルド氏は、独自の仮想通貨発行の計画について認めることも否定することもしなかったが、仮想通貨とブロックチェーンのプロジェクトの担当者を求めていたことを明かした。
「金融サービスの将来は、デジタル資産、通貨、ブロックチェーンなどの技術が使われ、オープンで無許可の元帳で行われていると予測しております。このことがフィデリティにとってどういった意味があるのかということを積極的に模索しております。我々はそのために必要な人材を雇っているのです。」
昨年、フィデリティがコインベースと統合したことで、フィデリティのクライアントはコインベースの情報を使用して仮想通貨のポートフォリオを閲覧することが可能になった。この新しいサービスによってクライアントはフィデリティで仮想通貨を直接保有することができるようになる。
現在の取引所の多くは最近設立された企業によって運営されているため、2.5兆ドル(約274兆円)もの資産を管理するフィデリティは、仮想通貨を管理する最も確立された企業となる可能性がある。
フィデリティのCEOであるアビゲイル・ジョンソン氏も仮想通貨やブロックチェーン技術について前向きな姿勢を示しており、昨年のコンセンサス会議では以下にように述べている。
「ビットコイン、イーサリアム、ブロックチェーン技術、そしてそれらが持つ将来性、どれもが魅力的です。」
同社は以前、ブロックチェーン技術の開発に携わっている企業と大学の協会に加わるだけでなく、「フィデリティー・コイン(Fidelitycoin)」という商標の商標も申請している。
フィデリティのような世界的企業が仮想通貨取引事業を開始すれば、これまで懐疑的な見方がされていた業界にも信頼性がもたらされる可能性が高いと言えるでしょう。今後の動向に仮想通貨のユーザーのみならず、世界中の金融市場から注目されている。