2009年にビットコインがデビューしてから、仮想通貨業界は何の規制もされずにどんどん規模を拡大していきました。しかし、今では各国が規制を設け始め、政府や中央銀行が仮想通貨を利用した詐欺や犯罪について投資家に注意を促し始めています。

IMF(国際通貨基金)の専務理事である、クリスティーヌ・ラガルド氏は、仮想通貨が政府の規制下に入るまで時間の問題だと述べております。CNNMoneyによって伝えられています。

「(仮想通貨の規制は)不可避です。明らかに、国際的な規制と適切な監督が必要な領域にまで来ております。」

この背景には、仮想通貨が多くの犯罪に関わってきたことがあります。先週の日曜日にドバイで開催された“世界政府サミット”では、ラガルド氏は以下のように述べました。

「仮想通貨には、おそらくたくさんの悪事が存在しています。」

IMFは、仮想通貨がマネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金の調達手段として使われることを積極的に阻止しようとしていると、ラガルド氏は語りました。

昨年12月には、SEC(米証券取引委員会)とFBI(米連邦捜査局)が、一部の仮想通貨事業者と貿易業者を資金調達詐欺の疑いで取り締まるなど、すでに国によって取り締まられる事例も見られています。

規制が厳しい中国や韓国に比べて、法整備も先行し受け入れ姿勢の強い日本の場合はどうでしょうか?「仮想通貨が犯罪に使われている。」と言われてもピンとこないという人もいるかもしれませんが、最近大きな話題となった仮想通貨取引所のコインチェックで約580億円相当のネム(XEM)が不正に引き出された事件も立派なサイバー犯罪ですし、サービスを妨害したり停止させるDoS攻撃や、マネーロンダリングなどは日本でも珍しい話ではありません。

国際情勢としても、仮想通貨の取引所にはマネーロンダリングやテロ対策が求められてきておりますが、日本の規制はまだ緩く、消費者保護が不完全なまま取引所に自由を与えてしまっている状況です。

しかし、金融庁が新たな市場である仮想通貨を寛容に受け入れていることで、日本が世界一の市場となったことも事実。金融庁が先導し、各国との協力による一律規制については肯定的なようですが、仮想通貨市場の覇権を握りかけているだけに、“仮想通貨先進国”日本がどのような動きを取るかは気になるところです。

国の財政難や少子高齢化による医療、福祉関連のサービスが国の財政に圧迫を与えているため、金融庁としては仮想通貨を一切取引中止をするのではなく、税収入を増やして充実させたい狙いもあると考えられます。

今回のラガルド氏の発言では国際的な協調を求めており、このように通貨において規制作りをしている立場からの発言が増えることは、仮想通貨業界においても市場の健全化に繋がるのではないでしょうか。

参考:CNNMoney