26日、SBIホールディングスの2018年3月期第二四半期決算説明会にて、代表取締役執行役員社長である北尾吉孝氏により、仮想通貨への取り組み内容が発表された。

SBIホールディングスでは早くから仮想通貨やブロックチェーン技術などフィンテックの有効活用に向けて取り組みを行ってきているが、今回の説明会では開業準備中の仮想通貨取引所「SBIバーチャルカレンシーズ」や、香港に設立を予定している「Digital Asset Exchange(仮称)」について新しい情報が発表された。

金融庁の登録制になったこともあるが、乱立する仮想通貨取引所の中には、サイバー攻撃やアクセス増によりサーバーがダウンするなどで、一時的に取引が行えず、損失を被る例も少なくない。また、ウォレットの脆弱性からハッキングされ、盗難に遭うケースも課題の一つとして挙げられる。ウォレットのセキュリティ対策が弱すぎるとし、北尾氏は以下のように話した。

「ウォレット、この機能、セキュリティ対策が弱すぎる。実はナカモトサトシさん、日本人じゃない人なんだけど、この人と会ってこの対策についていろいろ議論する機会がありました。」

証券やFX関連事業、ネットバンクなどで多くの顧客を抱えるSBIとしては、最優先するべきは投資家保護とし、SBIバーチャルカレンシーズはこういった対策・準備が整い次第開業するとしている。

また、50万口座程度の規模の仮想通貨取引所ではなく、圧倒的な巨大仮想通貨取引所を目指すとしている。実際に稼動が始まれば、SBIが抱える何百万人という投資家が仮想通貨市場に200万人、300万人の顧客が集まることを見込んでいる。

また、市場参加者から特に関心が高まっているRipple(XRP)についても触れており、「グローバルスタンダードになることは間違いない。送金はRippleです。XRPを使えば少なく見積もっても60%はコストダウンできる。今のSWIFTを使うよりも安くなります。」と、送金性能を比較した上でXRPについて話した。

SBIレミットではSBI Ripple Asiaと協同で、すでにRippleのソリューションを使い日本・タイ国間で送金を行っているが、8月に設立されたSBI Cosmoneyでは韓国にも国際送金事業を拡充していくという。韓国では多くの商業銀行が送金事業を独占しているため、金融監督局にも政治圧力をかけていく姿勢を見せている。

CB Insightsの統計によるとSBIホールディングスは、世界で最もアクティブにフィンテック関連事業に投資している法人投資家として評価されており、Google、Overstockなどが次いでいる。

また、仮想通貨関連事業を取りまとめる持株会社「SBIクリプトカレンシーホールディングス」を設立し、一環した事業展開に向けて基盤づくりを進めている。これには上述の取引所や国際送金だけにとどまらず、マイニング事業からICOのサポート、デリバティブ市場の創設など多岐に渡る。

SBIクリプトカレンシーホールディングス
SBIクリプトカレンシーホールディングスの事業運営体制(SBIホールディングス決算説明会資料より)

SBIによる仮想通貨を基盤とする金融生態系が構築された時、仮想通貨の未来はさらに明るくなるだろう。方方では今後の展開に期待の声が集まっている。

※当記事内におきまして、誤解を招く表現で記載してしまったことを訂正してお詫び申し上げます。

【訂正内容】

「これの対策として北尾氏はビットコインの考案者であるサトシ・ナカモト氏と議論を行っている。」→「ウォレットのセキュリティ対策が弱すぎるとし、北尾氏は以下のように話した。」。北尾氏の発言をYouTubeから引用し追記。訂正日10月29日

参考:SBIホールディングス決算説明会資料(PDF) , SBI Channel(YouTube)