仮想通貨を巡って各国では法改正や規制が進められている。例えば中国では全面的にICO(イニシャル・コイン・オファリング:仮想通貨の新規発行による資金調達)が禁止され、仮想通貨の取引も規制するなど当局により締め付けが強化され、いくつかの仮想通貨取引所では閉鎖や取引停止を予定している。

米SEC(証券取引委員会)やシンガポールMAS(金融管理局)、日本では金融庁が仮想通貨に対して規制管理を行っているが、ICOの潜在的な可能性について健全な枠組みづくりなど、主に犯罪防止と投資家保護の観点から進められている。また、SECやMASでは投資家に向けてのアドバイスや注意喚起なども積極的に呼びかけられている。

ICOはスタートアップがプロジェクトに必要な開発資金を調達するのに利用される機会が多く、また簡単に行えることから多くの企業から注目されている。

出資者側もプロジェクトが成功すれば、それに見合った利益を得られたり発行されたトークンの価値が上がれば売却して利益を得ることができる。失敗する例もあるので、出資前にはその企業をしっかりと調べておくことを推奨したい。

さて、今回ガンホー・オンライン・エンターテインメント創設者であり、VC(ベンチャーキャピタル)のMistletoeのCEO、孫泰蔵氏がICOについての見解をCNBCの取材に対し「ICOはスタートアップや一部の非営利団体に資金を提供する新しい方法。ICOはベンチャーキャピタリストのような専門家だけでなく、個人でも創業からサポートまでエキサイティングなプロジェクトに参加することができるため、ベンチャーキャピタルを民主化するために、非常に優れている。」と語った。

孫泰蔵氏はシリアルアントレプレナー(連続起業家)としての顔もある。このように資金調達をする側でなく、資金を提供する側からの見解は非常に貴重だ。

さらに孫氏は「最終的にICOは投資家を詐欺から守るための規制によって、より洗練されたものになる」と述べている。

ICOとは名ばかりでプロジェクトが架空であったり、資金調達だけしてプロジェクトが進められていないなど、場合によってはトークンすら発行せずに資金だけ集めるといった詐欺的な事例も聞かれる。

日本では仮想通貨への投資もまだ浸透が浅く、ICOと言っても何のことか分からないという方も少なくない。法規制が進められれば孫氏の言うとおり、詐欺から守られた上でエキサイティングなプロジェクトに参加することができる環境が作られるかもしれない。

参考:CNBC