Banco de Mexico(メキシコ銀行)の総裁、アグスティン・カルステンス氏は、中央銀行を介さず、また価値の裏付けや保証されていないビットコインなどの仮想通貨を通貨として定義をするべきではないと主張を強めた。

また、ハッキングなどのサイバー攻撃や匿名性の高さから、犯罪などに利用される可能性もあるため、セキュリティ面の問題も抱えているとし、ユーザー保護のために技術開発を進めていくことだけでなく、仮想通貨などを金融監督当局とともに規制していく必要があるとした。

また、メキシコペソの下落が続くため、メキシコ国民は代替通貨としてビットコインを利用する機会も増えていることも、法定通貨の管理をする中央銀行からすれば、問題のひとつとなっているとも考えられる。

仮想通貨を取り巻く環境は必ずしも良い面だけではない。とくに問題として挙げられるのが、マネーロンダリングや、やはり匿名性の高さから犯罪資金に利用されるといった点だが、ビットコインはブロックチェーンにより過去の履歴を追跡でき、改ざんすることもできないため、安全だとする意見もある。

しかしながら国際間での支払いが便利な反面、政府の監視下に置かれないため、税金などの問題も考えられている。このあたりは技術面や法律上での議論もあるため複雑な問題だが、国として受け入れるのには、まだハードルが高く賛否両論に分かれているのが現状だ。

日本では改正資金決済法により、法整備を進めることで、仮想通貨を受け入れていく姿勢が伺えるが、メキシコ政府では以前から法的な管理下に置かれないものには否定的で違法との見方を示している。

北米自由貿易協定(NAFTA)により貿易が盛んなメキシコだが、法改正などが行われ仮想通貨が認められれば、その恩恵も多く得られるのではないだろうか。メキシコ政府の動向にも目を向けていきたい。

参考:EL ECONOMISTA