ビットコイン懐疑派としても知られている、シリアルアントレプレナー(連続起業家)のMark Cuban(マーク・キューバン)氏。以前までは「ビットコインはバブルだ」と、過熱するビットコイン市場を懸念していたが、このところ一転し、ビットコインや仮想通貨に対して理解を深めているという。

8月24日にキューバン氏が支援しているソフトウェア開発チームが、イーサリアムベースの「Mercury Protocol」を発表した。このプロトコルのシステムは、「Global Messaging Token(GMT)」と呼ばれるERC20トークンによって支えられている。

Mercury Protocolの開発者であるPreethi Kasireddyによると、このプロトコルでは通信プラットフォーム上でGMTトークンが使用されるとしている。発表されたホワイトペーパー(目論見書:プロジェクトやトークンについての説明書のようなもの)では、Mercury Protocolは、ユーザーのプライバシーを保護することに特化した集中型通信プラットフォームの代替として作られている。このプロトコルを使うことで、分散型のブロックチェーン技術のメリットを低コストで有効活用できる。

このプロトコルは、キューバン氏が支援しているRadical App LLCによって開発された「Dust」という、チャットアプリケーションによって実装済みだという。また、Dustで送信したメッセージは、24時間後に自動消去され、メッセージや会話の内容がサーバーに保存される一般的なメッセンジャーとは異なる。また、メッセージは暗号化され、運営元も確認することができないという。従来のSNSやチャットアプリなどより、強固なセキュリティを実現させている。

また、Dustなどチャットアプリ以外でもこのプロトコルは、2017年末に開始される予定のBroadcastというプロジェクトでも使われるという。このプロジェクトは、イジメなど嫌がらせやエコーチェンバーのような問題を防止するソーシャルプラットフォームとしても機能するという。

おそらく、キューバン氏のビットコインをバブルだとする考え方は拭いきれないが、ブロックチェーンなど技術面においては価値を見出していると考えられる。毎回、仮想通貨投資家たちの関心を集めるキューバン氏の発言だが、相場動向や、懐疑的な意見だけでなく、こういった技術についても目を向けており、仮想通貨の未来を見据えた姿勢が伺える。

参考:The Mercury Protocol(medium)