ICO(イニシャル・コイン・オファリング)と呼ばれる手段での資金調達がこのところ増加の傾向にあるが、中には詐欺まがいのものしばしば見られる。

ICOは主にスタートアップなどが資金調達に用いる事が多く、そのプロジェクトに賛同する方や、ICOで配布されるトークンや仮想通貨の上場後の価格上昇を見込んで出資する方が多いが、しっかりとそのスタートアップについて調べるなど、理解をしたうえで参加しないと痛い目に遭うことも少なくない。

SEC(米国証券取引委員会)は25日、ICO参加に関するリスクなどを投資家に向けて、ICOに関連する新技術や金融商品は、ハイリターンを期待する投資家を誘惑するなど、悪用される可能性があるとして啓蒙を促した。

これは米国など海外に限った話ではなく、日本国内においても同様で、所謂ポンジ・スキームや最悪のケースでは実体のないプロジェクトなどに対する投資スキームなども確認されている。

事例としてはプレセールを称し出資を募り、「必ず儲かる」などとウソをつき、直接もしくは銀行口座に振り込むように誘導し、資金をだまし取るものが多い。普段接触の少ない知人やSNSなどで仮想通貨プレセールのセミナーに勧誘されたら、まず怪しいと警戒しておいたほうが良い。

今、仮想通貨に注目が集まっている中、新しく投資を検討している方も多く見られる。投資に関する知識があっても仮想通貨には株式や為替などの常識は当てはまらない。新規発行のトークンや仮想通貨を上場前に購入できるという形態からICOを株式で言えばIPOだと例えられることもあるが、およそ程遠いものだ。

株式であれば保有分に応じて、企業側に対してアピールを高めることができる。極端な例で言えば、3分の2以上を保有していれば会社の解散など支配権を得ることができるが、仮想通貨ではいくら保有していても企業やプロジェクトへの権限は一切与えられない。

まともなICOであれば、調達した資金を用いてプロジェクトを成功させ、また投資家も上場後に利益を得られるといった、双方にとってのメリットがある。出資をする際は、ホワイトペーパーを読み込んだ上で、そのプロジェクトが大事な資金を投資するに値するものなのか、慎重な判断が求められる。期間や調達額の上限が設けられる場合が多いので我先にと、ろくに調べずに資金を投げ打っては痛い目に遭ってしまうかもしれない。

参考:Investor.gov