仮想通貨やトークンを新規発行して資金調達を行うICO(イニシャル・コイン・オファリング)がここのところ話題だ。主にスタートアップなどが事業やプロジェクトに必要な資金を期間や金額を決めて出資者を募るものだが、中には既存のものと変わりないプロジェクトでトークンを発行し、資金を集めるだけが目的となっているように見えるケースも少なくない。
出資する側も上場後に公募割れさえしなければ両手を上げて嬉々としていてまるで警戒心がない。ひどいものになるとプロジェクト自体が有りもしないウソだった、という詐欺まがいのICOもあり、出資をする際はインターネットの情報だけで判断するのも難しくなってきている。ホワイトペーパーを読み込むのは当然、何に使うものなのかをよく知った上で出資をするよう気をつけたい。
また、イスラエルのスタートアップ、CoinDashが17日に行ったICOではトークン購入分として集まった3万7,000ETH(約8億円)がCoinDashでないアドレスに送金されたとして、ハッキングの被害にあったとしている。時間にして、わずか3分の出来事とのことだ。このようにいとも簡単に大金を盗まれてしまうという危険性も孕んでいるということを十分に理解をしておくことも必要ではないだろうか。
19日にBloombergが伝えるところによると、イーサリアムの開発者のひとりである、チャールズ・ホスキンソン氏は「ICOは時限爆弾のようなもの。簡単に稼げるため人々は分別が付かなくなっている。」と述べている。
2017年に入ってから今年だけでもICOの調達額は約13億ドルと、異常な数字となっている。これは2016年の約6倍となり、いかに過熱しているか、この数字が示している。
先のビットコイン分裂問題もあるため、今の時期ICOに参加するのはかなりリスキーだ。画期的なプロジェクトで有用性があれば、ICOに出資するのはアリという見方もあるが、他の投資と比較しても玉石混淆な上、情報も少ない場合もあるので、参加する場合は慎重な判断が求められる。