仮想通貨投資をしている人にとって、ひとつの分岐点とも言える2017年7月1日。財務省発表の「平成29年度税制改正の大綱」によると、この7月1日から「仮想通貨に係る課税関係の見直し」として資金決済による仮想通貨の譲渡が非課税になるとのことですが、これについて間違えた認識を持っている人の意見も散見されています。

確かに「税制改正の大綱」を見ても分かりづらいかと思いますので、ここでは仮想通貨を代表する「ビットコイン(BTC)」を例に出します。まず、8%の消費税が掛からなくなることは事実です。100万円分のビットコインを購入する場合、今までは消費税込みで108万円を支払っていましたが、これがなくなり、100万円分のビットコインは100万円で買うことができます。(各取引所のスプレッドや手数料により前後あります。)

では、今まで購入していた分の価格はどうなってしまうのか。これについて多くの人が議論を交わされています。「100万円分のビットコインであれば、8%が差し引かれて約92万6,000円になるのでは?」という声も見られましたが、この場合、購入していた分から二重で消費税を徴収することになるので、その心配はありません。6月30日までに購入している仮想通貨にはすでに消費税が課税されているためです。8%は「コインの価値」ではなくて「消費税」として、考えれば分かりやすいでしょうか。

ビットコインでは分かりにくいという人は、「価格の変動がない物」で考えるとより分かりやすいでしょう。100円の物を購入する際、消費税として8%課税され108円になります。この物自体は100円の価値ですが、108円を支払う訳です。それを販売しようとしたら100円の商品として販売するのに対し、8%の消費税が課税され、108円受け取ることができます。

逆のパターンも考えてみます。「消費税が掛からない分8%安く仮想通貨が購入できる」といった話ですが、確かに安く買う事ができます。100万円分のビットコインを100万円で購入できるのですから当然ですね。しかし、売却の際も非課税なので、安くてお得になるかと言えば実質売却を考えた際はこの限りではありません。

繰り返しますが、「価格が8%下がる」のではなく、「8%の消費税が課税されなくなる」ということです。ちなみに購入金額だけで考えれば、単純計算で約7.4%安く買うことができます。今、仮想通貨を保有している人はもちろん、この7月から仮想通貨への投資を検討されている人は、あくまで参考としてみてください。

また、仮想通貨取引所が国内であるか、海外の取引所であるかの課税判定については現行の消費税法上では明確な線引がされていないので、曖昧な点は残ります。ここについて、ご不安な人は各自最寄りの税務署や税理士にご相談されることを、いくつかの取引所では推奨していますので、そちらでご確認されてみてください。

参考:平成29年度税制改正の大綱(PDF)