ビットコインなど仮想通貨はブロックチェーン(分散型台帳)というシステムで取り引き履歴の管理を行っている。分散化された取り引きのデータを計算することで、その対価としてビットコインを得ることができ、この行為を金の採掘になぞらえて「マイニング」と呼ばれる。

マイニングを行うには途方もない演算処理能力をもったコンピューターと、それを行うための電力がかかり、コンピューターの排熱処理にもファンなど設備投資が必要である。

電気代の高い日本国内ではマイニングには向かないとされており、比較的電気代の安い国や地域で大規模な設備を構えて行うのが効率的と言われている。また、ビットコインの場合は発行上限数が2,100万BTCまでと制限もあるため、マイニングをすればするほど演算の難易度が上がり、採掘速度が遅くなっていく。

こういった要因からも国内ではマイナー(マイニングをする人)が少ないが、一部のPCパーツショップではマイニングに使用するパーツの売り切れが続出しているという。主にグラフィックボードに搭載されるGPUを使って演算処理を行うのだが、「Radeon RX 580/570」と「GeForce GTX 1060」がとくにマイナーに人気があるようだ。

秋葉原のPCパーツショップでは多くの店舗で入荷次第売り切れや品薄状態が続いており、現在入手困難な状況だ。国内でマイニングを行うのか、マイニング先進国の中国やその他諸外国からの需要かは明らかではないが、店頭ではグラフィックボードの購入枚数を制限する店舗もあるという。

秋葉原のPCパーツ大手専門店のツクモパソコン本店では18日にマイニングの初級者向けマイニングセミナーを行った。こういった取り組みが増え、国内でもマイニングに注目が集まり、マイナーが増えればさらに仮想通貨市場は加速していくだろう。

1850年頃、ゴールドラッシュを夢見て多くの採掘者が鉱山に殺到し、つるはしを振るって、金を掘った。この時に一番儲かったのは採掘者相手に、「つるはしやスコップなどを売っていた道具屋」だという皮肉まじりの話もある。

現代のゴールドラッシュとも言われる仮想通貨マイニング。グラフィックボードやマイニング用PCパーツなどに需要が高まる中、これから一攫千金を狙うマイナーはパーツ代や電気代などのコストとの採算が取れるかを考えて参入を検討していく必要があるだろう。