先のヒンデンブルグ・オーメンの点灯は2018年の世界同時不況の予兆だろうか。2015年6月のヒンデンブルグ・オーメン出現は、その後の世界的株価下落の予兆となった。当時は中国株の暴落が引き金となった。今回、中国のバブル崩壊が近いという見方があり、夏以降の株価暴落があればそれの引き金となるのは、中国バブル崩壊だと予測されている。

まず、中国の株価推移から見ていきたい。上海総合指数は2013年から2014年5月にかけて、2010から2050のレベルで推移していたが翌年の2015年5月には5170レベルまでと2倍以上に買い上げられた。

そして同月にヒンデンブルグ・オーメン出現。2016年2月にかけて半値の2650程度まで投げられたが、その後本日の3130まで安定的に推移している。チャートなどのテクニカル面では上海総合指数の過熱感は見られないので、中国発の株価崩壊の可能性は低いと見ている。

しかし、中国経済のファンダメンタル分析ではかなり危ない予兆が見られる。昨年末にBIS(国際決済銀行)が発表した、中国の民間債務(2016年6月末)は約2,200兆円であり、これは中国のGDPの209%に相当する。この数字はとくに警戒しなければならないほどの高いレベルだ。

このような中国の量的緩和が行き過ぎた結果、大規模な設備投資を行いその結果として、鉄鋼、セメントなどの素材メーカーだけでなく、自動車やスマートフォンといったメーカーにまで供給過剰になっていく。中国が2011年と2012年の2年間に使ったセメントの総量が、米国の建国以来200年間のセメント使用量の合計を超えたという統計事実もある。

日本の民間債務のGDP比率は1989年に208%を超えたことがある。このころの一連の流れは記憶に新しい方もいるだろう。その後、日本の株価は1990年の末からピークアウトし、1991年の株価大崩壊になったのだが、この時の状況と現在の中国経済の状況が酷似しているとの見方もされている。

これが再現されるとすれば、今回の規模では世界同時不況となる可能性も考えられる。その場合多くの市場に瞬く間に影響をきたすだろう。その時にカギを握っているのが「仮想通貨」だと言っても過言ではない。

2009年にビットコインのブロックチェーンシステムが実現されてから日進月歩、進化し続けるテクノロジー。ビットコインのあとを追うようにさまざまなコインが開発され、取り引きされている。多くの取り引きは投機だが、ここ最近の仮想通貨市場の発展は目覚ましい。仮想通貨が法定通貨と肩を並べる日も遠くはないだろう。

国や政府などの保証はないものの、中央銀行などの機関を介さずに海を越えた国際間での取り引きに利用でき、それだけではなくさまざまなネットワークに活用が見出されている。一笑されるかもしれないが冗談などではなく、未来では「仮想通貨」が世界共通の通貨として利用されるかもしれない。

NYダウが高値を付け、日経平均が20,000円を回復している今こそ、有頂天になるのではなく、“勝って兜の緒を締めよ”と考えるべきではないだろうか。