2022年はEthereumにとって「The Merge」の実装された象徴的な年となった。The Mergeはコンセンサスアルゴリズムを次世代型へとアップグレードさせる非常に大きなマイルストーンとなった。
そのThe Merge以降初めての大型アップデートとなる「Shanghai(上海)」のスケジュールが公開されているが、このアップデートに対して一部の開発者はテストが不十分なのではないかと懸念を示している。
上海の大きなトピックとしてステーキングの引き出しが可能になる点が挙げられる。The Mergeによってもたらされた新たなコンセンサスアルゴリズムでは多くのステークホルダーを募る必要があったが、実装準備段階でステークホルダーの大幅な変動を避けるためにも一定期間のステーキングの引き出しが禁止されることで合意がされていた。
そのステーキングされた資金を引き出すことが可能になることで、ETHの売り圧力にも繋がりかねないことも指摘されているが、反面新たな参加者も見込めるためポジティブに受け入れられる声も聞こえる。
それに加えて上海アップデートでは「スケーラビリティの向上」「スマートコントラクト実行のセキュリティ強化」などがアナウンスされている。
一方で、一部の開発者は上海の実装に懸念を示している。上海は3月の実装を予定されており、昨年末からプライベートテストが、今年の2月にはパブリックテストが予定されているが、この実装の展開が速すぎ、十分なテストが行われないことで技術的負債を残す可能性があると述べている。
技術的負債は長期的に抱えることで解消困難なトラブルとなり得、近年本邦においてはみずほ銀行が長年の技術的負債により意図しないタイミングでATMの停止といった影響を引き起こし、解消困難な負債により抜本的な解決も未だ見られず、一時的な解決にも時間を要するなど根深い問題を引き起こすことがある。
こういった議論は少数のイーサリアム開発者グループによって主導されているが、問題の有無が発覚するか、予定通り3月に上海アップデートが行われるかも含めてこれからのテスト次第とみられる。