香港の金融当局はProject Aurumと呼ばれる香港独自の中央銀行デジタル通貨(CBDC)のプロトタイプを発表した。Aurumの特徴としてホールセール・インターバンクとリテール・Eウォレットシステムの2層のプラットフォームを備えていることを明らかにした。

AurumはBISイノベーションハブ香港センター、香港金融管理局(HKMA)、そして香港応用科学技術研究所の協力により開発されていることが香港国際決済銀行(BIS)によって発表された。

Aurumは2種類のデジタルトークンを発行することを想定しているという。1つは仲介型デジタル通貨、もう一つは銀行間システムで流通するCBDCに裏打ちされたステーブルコインになる。

BISは「後者はこれまでのCBDCの研究においてユニークです。プライバシー、安全性、柔軟性はシステムの中核です。」と語っている。

ステーブルコインといえば米ドルなど法定通貨に裏打ちされたものが主流であったがAurumの担当者は「CBDCが支援するステーブルコインを実現することはこれまで行われたことがないため、そうすることで、民間部門のステーブルコインに関する研究の増加を補うことができると感じました」と述べている。

また、民間のステーブルコインとは対照的に、Aurumのステーブルコインの残高は、発行銀行と中央銀行のリアルタイムの総決済残高に対して調整されていると説明した。

中国は本土でデジタル人民元「e-CNY」の開発が盛んに行われているが、一国二制度を掲げており、CBDCも2種類が流通する可能性もありそうだ。