貴金属に裏打ちされたデジタル資産との取引がロシアで始まっていることが明らかになった。宝飾品や自動車排出ガス触媒、また銀歯の素材としても知られるパラジウムをトークン化したものが現在取引されている。
パラジウムのトークンはコモディティのトークン化を専門とするプラットフォームAtomyzeとRosbankが発行を開始。Atomyzeのプレスリリースによればトークンの保有者は金属の市場価値に相当する金銭的請求の権利を有すると述べられている。
パラジウムは白金族元素の一つでプラチナの代替品として用いられているが、主要な産出国であるロシアへの経済制裁が2014年から続いているためパラジウム価格は高騰を続け、現在では金よりもプラチナよりもグラムあたり単価の高い貴金属となっている。
モスクワのメディア・プライムビジネスニュースエージェンシーによるとパラジウムは現在ロシア市場の公的資産とみなされてはいないが、有望な投資と見込まれていると報告している。
Atomyzeは2月にデジタル金融資産(DFA)プラットフォームの運営者としてトークン化のライセンスを取得しており、ブロックチェーンベースの金融商品を提供する権限があたえらている。トークン化されたパラジウムによりトレードの新しい機会を生み出し、企業と個人投資家の両方に代替ツールを提供することができるようになるとAtomyzeのレポートは述べている。
DFAとは、主にデジタル資産のうち、その発行と流通に責任を持つ主体が、資産の提供する権利を保証するものを指し、「デジタル金融資産について」記された法律では様々なトークンがデジタル権利として定義されている。
Atomyzeの後押しをする人々の一人であるVladimir Potanin氏は今回のパラジウム・トークンなどの原材料への投資を可能にするデジタル権利の発行はロシア経済の新時代「トークン化の時代」の幕開けであると述べた。