任天堂アメリカの元社長を務めたレジナルド・フィサメィ氏がブロックチェーンを使用したテレビゲームの「Play-to-Earn(P2E)」モデルにより、ゲームに時間を費やしたプレイヤーは、獲得したアイテムを現金化できるはずだと持論を述べた。

フィサメィ氏は2006年から2019年にかけて社長を務め、各種カンファレンスにも度々出演し、ファンの間からレジーの相性で親しまれた任天堂アメリカを語る上で重要な人物だ。

P2Eモデルは文字通り「プレイして稼ぐ」ことで、ゲーム内で獲得した通貨やアイテムがそのままゲーム世界で完結せず、交換・取引を経ることで現実に稼ぐことを可能にしたモデルだ。

従来のゲーマーの中にはP2Eモデルに対して否定的な意見を持つプレイヤーも少なくないが、反対にP2Eモデルを持ち込むことでゲームを「時間の無駄」と言ったステレオタイプから解き放つ考えを示す者もいる。

任天堂の故・岩田聡社長はかつて「私どもは、自分たちのライバルは何だと考えているかというと、『お客様の興味関心と時間とエネルギーを奪い合うすべてのものがライバルだ』と思っています。」とも述べており、消費者の可処分所得の奪い合いという面では、ゲーム会社だけがライバルだとは考えていなかったことを明らかにしており、P2Eという尖った考え方も、非ゲーマーにプレイしてもらうゲームを常に戦略として考えているのは任天堂的哲学で言えばあながち大きく異なったものではないのだろう。

レジー自身も「300時間を費やしたゲームがいくつかある」と述べ、このゲームをプレイするのをやめて次のゲームへ移る際に、自身が作ったものを収益化出来たら素晴らしいことではないでしょうか?と提案した。

多くの人々が楽しんでいるゲームソフトとして任天堂の「どうぶつの森」シリーズを例に出し、人々の作り上げた島が取引できるようになることに興味があると示し、任天堂のフランチャイズにNFTテクノロジーが適用できる可能性はあると指摘した。

あくまで現在は任天堂外部からの発言ではあるが、最近の任天堂に対するQ&Aセッションで同社はメタバースに対して大きな可能性を感じつつも、どのような「驚きと楽しさ」を顧客に提供できるかまだ考案できていないと回答している。

すでにP2Eモデルを実施しているメーカーは少なくなく、いずれビデオゲームの巨人・任天堂も参入してくる日は遠くないかもしれない。