ロシア中央銀行で現在開発されているデジタルルーブルにおいて、ユーザーは取引ごとに手数料を支払う予定であることを、規制当局の金融技術部門の責任者であるキリル・プロニン氏が明かした。プロニン氏によればデジタルルーブルの手数料は現在の高速決済の手数料を超えることはないという。

ロシアでは2019年1月に高速支払いシステム(FPS)を開始。FPSを使用することでロシアの居住者は電話番号のみを使用して送金することが可能になった。電話番号の識別にQRコードを使用することもでき、商品やサービスの決済に利用されてきた。手数料に関して、月額最大10万ルーブル(約15万円)までの送金が無料になっており、この金額を超える送金に0.5%の手数料が適用されて、最大1500ルーブル(約2300円)が課される。

ロシアの平均月収はロシア連邦国家統計局の発表によると都市部でも10万ルーブルを割っており、一般的な家庭では収入のすべてをFPSで送金しても十分な無料枠が用意されているとも言える。デジタルルーブルの取引手数料は、そのFPSの手数料よりも割安なものになることが想定されている。

ロシア中央銀行は2018年からデジタルルーブルの検討を開始し、昨年より本格的に中央銀行デジタル通貨(CBDC)の可能性を模索しだしたところだ。金融セクターの関係者や利害関係者からのフィードバックを収集し、今年の4月に当局はデジタルルーブルの主要なアーキテクチャや概念を発表した。

6月には12を超える銀行が参加するパイロットグループが結成され、年末にはプラットフォームのプロトタイプを完成させる予定としており、ロシアの市民に暗号通貨や法定通貨にペッグしたステーブルコインに代わるものとしてデジタルルーブルを提供すると掲げている。