国際通貨基金（IMF）のクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事は中央銀行の発行するデジタル通貨（CBDC）が最も信頼できるデジタルマネーの形態であり、ビットコインなどの暗号通貨をお金と考えるのは難しいという自身の考えを明らかにした。

イタリアのボッコーニ大学が主催するイベントに登壇し、現在の金融当局にとっての重要な課題は、各国の発行するCBDCの相互運用性を保証することとなると述べた。

IMFのメンバーの内、現在110カ国がCBDCの調査をしており、今後100を超えるCBDCを世界中で取り扱う可能性が指摘されている。

ゲオルギエバ氏によると、主要な考慮事項は、国が支援するデジタル通貨が国民から信頼される交換手段として役立つかどうかだという。また、政策立案者の課題としては、CBDCが国内の経済安定にどのように貢献するか、そして国際決済銀行（BIS）のような組織によって導入された国際決済の仕組みにどう適合するかなどが挙げられた。

BISイノベーションハブを通して国際取引におけるCBDCの利用はいくつかのプロジェクトでテストされており、オーストラリア準備銀行、マレーシア国立銀行、シンガポール金融管理局、南アフリカ準備銀行によるコラボレーションや、中国・香港・タイ・アラブ首長国連邦による共同試験、フランス銀行とスイス国立銀行が実施した卸売CBDC試験などが行われてきている。

ゲオルギエバ氏は暗号通貨を現実のお金として認められない理由としてボラティリティの高さを引用し、事実上の資産はビットコインのように急激に価値が上下する可能性のある資産には支えられていないと述べている。

コロナ禍における深刻な経済の停滞の只中にある現在、前回の世界金融危機を踏まえ、債務危機を回避する準備はできているとゲオルギエバ氏は語ったが、パンデミックに対抗するための負担をなくすために、政府は中期的な財政再建を目指し、慎重に進路を計画する必要があると強調した。