米国連邦捜査局(FBI)は月曜日、犯罪被害により奪われた約230万ドル相当の暗号通貨を押収したことを発表した。押収した暗号通貨は米国石油関連企業コロニアルパイプラインが5月にランサムウェアの身代金として支払われたものの一部であるとしている。

5月に「ダークサイド」と呼ばれるハッカー集団がランサムウェアを使用しコロニアルパイプラインを攻撃。ハッカーは身代金としてデジタル資産の支払いを要求し、コロニアル社のCEOは440万ドル相当の支払いを承認したと報じられている。

ランサムウェア被害にあった際、重要なインフラであるパイプラインがコントロール不能に陥る前に、コロニアル社はパイプラインを予防的に操業を停止することを決定した。アメリカ東海岸の石油輸送の45%を占めるコロニアル社の操業停止は石油価格に大きな混乱をもたらした。

米国政府は過去に、ランサムウェア被害にあったとしても犯罪者に資金を提供すべきではないとして、金銭支払いをしないように勧告しており、コロニアル社の対応は当初各方面で物議を醸したが、コロニアル社のCEOは「この国にとって正しい行動をした」と述べ、正当性を主張した。

これらに対してダークサイドから声明文も発せられ「我々の目的は金銭であり、社会に問題を起こすことではない」と語られている。

攻撃を受けていた水面下で捜査当局はコロニアル社を全面支援し、ダークサイドが使用した暗号通貨ウォレットのアドレスの特定に至ったとFBIの捜査官は説明しており、送金段階から追跡を開始したことが功を奏したと述べている。

コロニアル社はダークサイドに対して75 BTCの送金を行い、当時440万ドル相当と報じられていたが、その約85%に及ぶ63.7 BTCが今回の押収により戻ってきたことになるが、市場の下落を経たことで約230万ドル相当とおよそ半減する結果に至った。